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今回は夫のモラハラに悩みながら、浮気の線も疑っている方のための記事です。
モラハラをする人が必ず浮気するわけではありません。
また、「モラハラ夫は一般の男性より何倍も浮気しやすい」と示した信頼できる統計も、現在のところ確認できません。
しかし、モラハラを生みやすい心理と、浮気を正当化する心理には、いくつかの共通点があります。
この記事では、モラハラと浮気の関係について、心理学研究や公的資料をもとに分かりやすく解説します。
浮気を疑われたときや、証拠を示された後にモラハラ夫が見せる可能性のある言動についても取り上げます。
浮気の事実がつかめれば、夫の行動を改めさせたり、離婚を実現できる可能性があります。
結論からいうと、「モラハラ夫は必ず浮気する」とは断定できません。
浮気が起こる背景には、本人の性格だけでなく、夫婦関係への満足度、貞節に対する価値観、異性と接する機会、生活環境など、さまざまな要因があります。
不貞の関連要因を調べたシステマティックレビューでも、個人の特性、夫婦関係、社会的・文化的要因などが複雑に関係すると報告されています。
参考:Infidelity and Its Associated Factors: A Systematic Review
したがって、夫にモラハラ的な言動があるというだけで、「きっと浮気もしている」と決めつけることはできません。
一方で、モラハラと浮気には、次のような共通する心理が見られることがあります。
これらの心理があると、「妻には許されないが、自分には浮気する事情があった」という身勝手な正当化が生まれやすくなります。
つまり、「モラハラだから浮気する」という単純な関係ではなく、モラハラを生みやすい心理的特徴の一部が、浮気や浮気の自己正当化にもつながり得ると考えるのが適切です。

モラハラは、単に口調がきついことや、夫婦が喧嘩することと同じではありません。
一般には、言葉や態度によって相手の人格を傷つけ、精神的に追い詰めたり、自分に従わせたりする行為を指します。
内閣府は、配偶者に対する精神的暴力の例として、次のような行為を挙げています。
参考:内閣府「暴力の形態」
これらの行為に共通するのは、夫婦間で意見が衝突しているだけでなく、一方がもう一方より優位に立ち、行動や考え方を支配しようとしている点です。
世界保健機関(WHO)も、親密なパートナーから受ける暴力には、身体的暴力だけでなく、心理的虐待や支配的行動が含まれるとしています。
参考:WHO「Violence against women」
日本の公的統計でも、精神的DVは決して珍しい問題ではありません。内閣府の『令和7年版 男女共同参画白書』によると、令和5年度のDV相談では、相談内容の約7割に精神的DVが含まれていました。
なお、モラハラと精神的DVは完全に同じ意味で使われているわけではありません。特に「モラハラ」は法律上の犯罪名や医学的な診断名ではありません。
しかし、相手を繰り返し見下す、責任を押しつける、行動を制限する、無視や威圧によって従わせるといった行為は、心理的虐待や支配的行動として考える必要があります。

モラハラ傾向のある人には、「自分は妻よりも上の立場にいる」「妻は自分の要求に応えて当然だ」という意識が見られることがあります。
例えば、次のような考え方です。
こうした特権意識が浮気にも持ち込まれると、妻には貞節を要求しながら、自分には例外を認めるようになります。
実際に、新婚夫婦123組を追跡した研究では、「性的ナルシシズム」と婚姻外性交との関連が調べられています。
この研究で扱われた性的ナルシシズムには、自分には性的欲求を満たす権利があると考える「性的特権意識」、相手を自分の性的欲求のために利用する「性的搾取性」、相手の気持ちを十分に考慮しない「性的共感性の低さ」などが含まれています。
研究では、全体として性的ナルシシズムが高い人ほど、追跡期間中に不貞を経験する可能性が高いという関連が示されました。
参考:Sexual Narcissism and Infidelity in Early Marriage
これは、「特権意識のある人は必ず浮気する」という意味ではありません。しかし、自分の欲求を特別扱いする心理が、婚姻関係のルールを破ることへの抵抗を弱める可能性は考えられます。
モラハラでは、妻が一人の対等な人間としてではなく、夫の生活を支える役割として扱われることがあります。
このような考え方では、妻にも感情や希望があり、自分とは異なる人生を持っているという事実が軽視されます。
先ほどの性的ナルシシズムに関する研究では、性的搾取性や性的特権意識、性的共感性の低さが、夫婦の性的満足度や結婚生活の満足度と関係することも報告されています。
参考:The Implications of Sexual Narcissism for Sexual and Marital Satisfaction
妻を自分の要求に応える存在として扱う人は、妻が要求どおりに動かなかったときに、「自分は不当に扱われている」と感じることがあります。
そして、別の女性が自分を褒めたり、優しく接したりすると、「この女性こそ自分を理解してくれる」と考え、浮気を正当化する場合があります。
しかし、妻が夫のあらゆる要求に応じる義務があるわけではありません。要求が満たされなかったことと、夫が不貞を選んだことは別の問題です。
浮気を思いとどまる理由の一つは、配偶者を傷つけたくないという気持ちです。
ところが、自分の欲求を優先し、妻の気持ちを軽く考える人は、浮気によって妻が受ける苦痛を十分な判断材料に入れない可能性があります。
このような考え方では、浮気そのものよりも、「発覚すること」が問題だと捉えられています。
しかし、浮気を隠すためには、配偶者に嘘をつき、行動を偽り、時間やお金の使い道を隠す必要があります。発覚していない間にも、夫婦関係の前提となる信頼は損なわれています。
ナルシシズムと不貞への意図を調べた研究では、ナルシシズム、不貞への意図、夫婦関係への満足度の間に関連が確認されています。
参考:Exploring the Associations Between Narcissism and Intentions Towards Infidelity
もっとも、この研究には大学生を含む比較的若い対象者が多く、実際の既婚者による不貞だけを調べたものではありません。そのため、「ナルシシズムが高ければ実際に浮気する」と断定することはできません。
また、ナルシシズムは複数の側面を持つ心理的特性です。夫の言動を見て、家族が勝手に「自己愛性パーソナリティ障害」などと診断することも適切ではありません。
重要なのは病名をつけることではなく、妻の気持ちや権利が繰り返し軽視されていないかを見ることです。
モラハラ傾向のある人は、家庭内で問題が起きたとき、自分の責任を認めず、妻に原因を求めることがあります。
この考え方が浮気にも持ち込まれると、次のような責任転嫁が起こります。
夫婦関係に問題があった可能性と、浮気を選んだ責任は別です。
関係に不満があるなら、話し合う、夫婦カウンセリングを利用する、一定期間距離を置く、別居や離婚を検討するなどの選択肢があります。不満があったからといって、配偶者に隠れて別の相手と関係を持つことが当然に正当化されるわけではありません。
不貞に関する「道徳的離脱」を調べた研究では、浮気を心理的に正当化する方法として、浮気された配偶者への責任転嫁、悪影響の過小評価、他の悪い行為との比較などが確認されています。
参考:A New Scale Measuring the Moral Disengagement of Marital Infidelity
道徳的離脱とは、悪いことだと分かっている行為について、考え方を変えることで罪悪感を弱める心理的な仕組みです。
例えば、「浮気は悪い」と考えている人でも、「妻にも原因がある」「家庭を壊してはいない」「もっとひどいことをしている人もいる」と考えれば、自分の行為を受け入れやすくなります。
モラハラと浮気をつなぐうえで、この責任転嫁は非常に重要なポイントです。
モラハラ傾向のある夫は、自分と妻に同じルールを適用しないことがあります。
そこには、次のような二重基準があります。
不貞、嫉妬、親密なパートナー間の暴力を扱った51研究・28か国のシステマティックレビューでは、男性の不貞を許容する一方で女性には忠実さを求める性的な二重基準や、男性の性的特権に関する問題が取り上げられています。
参考:Infidelity, Romantic Jealousy and Intimate Partner Violence
同じ浮気でも、自分がしたときは「仕方がなかった」と考え、妻がしたときは「絶対に許されない裏切り」と考えるのであれば、そこには対等な夫婦関係ではなく、上下関係が作られています。

浮気をした夫から「お前にも原因がある」と言われると、妻は自分の行動を振り返り始めます。
夫婦関係を振り返ること自体は悪いことではありません。しかし、夫婦関係に改善すべき点があったことと、夫が浮気を選んだことを混同してはいけません。
夫婦関係の問題には、夫婦双方が関係していることがあります。一方、不満への対処方法として配偶者に隠れて不貞を選んだ責任は、それを選んだ本人にあります。
これは「妻には一切問題がなかった」と決めつける話ではありません。
例えば、夫婦の会話が減っていた、互いに不満を伝えられなかった、長期間にわたって関係が冷え込んでいたという問題は、夫婦で考える必要があるかもしれません。
それでも、
という二つの文の間には飛躍があります。
夫婦関係の問題を理由に、浮気の責任まで妻に負わせる必要はありません。

浮気を疑われた人が否定したり、不快感を示したりすることはあります。その反応だけで、浮気をしていると判断することはできません。
ただし、疑われた内容について説明するのではなく、妻の人格や精神状態を攻撃し始める場合には注意が必要です。
妻が「最近、帰りが遅いのはなぜ?」と尋ねただけなのに、夫が次のように反応することがあります。
本来の論点は、帰宅時間や行動の変化です。
ところが、妻の性格や夫婦関係の問題に話を移すことで、夫は自分の行動を説明せずに済みます。妻は夫を疑ったことへの罪悪感を持ち、最初の疑問を口にできなくなることがあります。
夫の説明と実際の行動が食い違っていることを指摘すると、次のように言われることがあります。
事実関係を説明するのではなく、妻の記憶や判断力そのものを繰り返し疑わせる行為は、ガスライティングと呼ばれる心理的操作に当たる可能性があります。
親密な関係における隠れた虐待を扱った研究レビューでも、否定、過小評価、責任転嫁、非難、現実認識を揺るがす行為などが取り上げられています。
参考:Subtle or Covert Abuse Within Intimate Partner Relationships
ただし、一度の記憶違いや意見の食い違いを、すぐにガスライティングと決めつけるべきではありません。
問題になるのは、夫に都合の悪い出来事があるたびに妻の記憶や判断力が否定され、妻が「自分のほうがおかしいのかもしれない」と思うようになることです。
最初は「会っていない」と否定していたのに、写真があると分かると「会っただけ」と説明することがあります。
さらにホテルへ入った事実が示されると、「休憩しただけ」「相談に乗っていただけ」「何もしていない」と説明が変わることもあります。
説明が変わったからといって、それだけで法的な不貞行為が証明されるわけではありません。
しかし、妻が知っている事実の範囲に合わせて説明が少しずつ変わる場合、夫の言葉だけで事実を判断することは難しくなります。
このような状況では、夫を繰り返し問い詰めるより、日時、帰宅時間、発言、支出など、客観的に確認できる事実を整理することが大切です。
これは一見すると謝罪に見えます。
しかし、「悪かった」という言葉の直後に妻の問題を持ち出すことで、浮気の責任の一部を妻に戻しています。
本当に責任を認めるのであれば、まず自分が何をしたのか、それによって妻をどう傷つけたのかを受け止める必要があります。
夫婦関係に問題があったという話は、その後で別の問題として話し合うべきです。
浮気が発覚すると、夫が次のように説明することがあります。
これらは、浮気の悪影響を小さく見せたり、他人と比較したりする説明です。
不貞に関する道徳的離脱の研究でも、結果の過小評価や他の悪い行為との比較は、浮気を正当化する方法として確認されています。
浮気が一度だったか、長期間だったか、本気だったか、遊びだったかは、今後を判断するうえで重要な事情です。
しかし、「遊びだったから妻は傷つかない」「家庭を捨てなかったから問題は小さい」とは限りません。どの程度傷ついたかを決めるのは、浮気をした側だけではないからです。
浮気が発覚した直後、夫が急に優しくなることがあります。
謝罪する、花やプレゼントを買う、家事をする、早く帰宅する、家族との時間を増やすなどの変化です。
夫が本当に反省し、関係修復のために行動している可能性もあります。そのため、優しくなったこと自体を「新たなモラハラ」と決めつける必要はありません。
ただし、注目すべきなのは一時的な態度ではなく、次の点です。
数日間優しくした後、妻が浮気について話すと再び怒鳴り始めるのであれば、問題が解決したとはいえません。
証拠を示されたことで、モラハラや威圧が強くなる可能性もあります。
不貞や嫉妬と親密なパートナー間の暴力を扱ったシステマティックレビューでは、現実または疑われた不貞が、暴力や支配と複雑に結びつくことが報告されています。
参考:Infidelity, Romantic Jealousy and Intimate Partner Violence
もともと威圧や暴力がある夫の場合、証拠を示すことによって危険が高まる可能性を考える必要があります。
身の危険を感じる場合は、二人きりの場所で問い詰めることを避け、証拠を見せる前に公的相談窓口や弁護士などへ相談してください。
モラハラを長期間受けていると、自分の感覚や判断に自信を持てなくなることがあります。
このように考え、明らかな不自然さがあっても、自分の疑問を打ち消してしまうことがあります。
支配的な言動が被害者に与える影響を調べたシステマティックレビューでは、支配的行動への曝露が、PTSDや抑うつと中程度の関連を持つことが示されています。
参考:The Trauma and Mental Health Impacts of Coercive Control
また、心理的なパートナー暴力に関する研究でも、威圧的支配や支配・孤立などが、被害者のPTSD症状などと関連することが報告されています。
参考:The Psychological Subtype of Intimate Partner Violence and Its Effect on Mental Health
精神的に追い詰められていると、離婚するか、関係を修復するかといった重大な決断を、すぐには下せないことがあります。
それは意志が弱いからではありません。長期間にわたって自分の意見を否定され、判断する力を奪われている可能性があります。
まず必要なのは、急いで結論を出すことではなく、自分の置かれている状況を客観的に整理することです。
浮気の疑いを抱いたとき、すぐに真相を聞きたくなるのは自然な反応です。
しかし、問い詰める前に、次の点を考えておく必要があります。
浮気の事実を確認することと、その後の決断を同時に行う必要はありません。
浮気が事実でも、すぐに離婚を決める必要はありません。反対に、関係修復を選んだからといって、証拠が不要になるとも限りません。
証拠を確認してから、自分の生活、子ども、経済状況、夫の態度などを考慮し、時間をかけて判断することもできます。

モラハラと浮気が重なっていると、夫婦の話し合いが「言った」「言わない」の争いになりやすくなります。
夫の説明が変わったり、妻の記憶が否定されたりすると、妻自身も何が事実なのか分からなくなることがあります。
そのような状況では、次のような客観的な記録が状況整理に役立ちます。
ただし、相手のスマートフォンへ無断で侵入する、パスワードを不正に取得する、勤務先などへ押しかけるといった行為には、法的問題やトラブルの危険があります。
証拠を集める場合も、安全で適法な方法を選ぶ必要があります。
客観的な証拠は、必ずしも離婚するためだけのものではありません。
といった目的にも役立ちます。
裁判所も、慰謝料請求の調停では、離婚に至った経緯や原因などを当事者双方から聴き、必要に応じて資料の提出を求めながら話し合いを進めると説明しています。
参考:裁判所「慰謝料請求調停」
相談先は、一つに絞る必要はありません。解決したい問題によって相談先が異なります。
暴力、脅迫、監視、行動制限、経済的な締めつけなどがあり、身の危険を感じている場合は、安全の確保を優先してください。
内閣府の「DV相談ナビ」では、全国共通の電話番号「#8008」に電話すると、最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります。
参考:内閣府「DV相談ナビ」
各地の配偶者暴力相談支援センターでは、相談、カウンセリング、一時保護、自立に向けた情報提供などが行われています。
緊急の危険がある場合は、ためらわず110番へ通報してください。
離婚、慰謝料、財産分与、親権、養育費などについて知りたい場合は、弁護士への相談が適しています。
裁判所には、離婚やそれに伴う財産分与、慰謝料、親権者の指定などについて話し合う夫婦関係調整調停があります。
ただし、探偵は依頼者の代理人として配偶者や浮気相手と慰謝料を交渉することはできません。法的判断や代理交渉が必要な場合は、弁護士へ相談する必要があります。
浮気の事実確認や行動調査は、探偵社への相談が選択肢になります。
ただし、調査を依頼する前に、
を整理しておくことが大切です。
調査の成功は、それ自体が依頼者の人生の成功を意味するわけではありません。
証拠は、離婚する、関係を修復する、慰謝料を請求する、しばらく判断を保留するといった選択肢を検討するための材料です。調査後の人生まで考えながら相談に乗る探偵社を選ぶ必要があります。
モラハラ夫が必ず浮気するわけではありません。また、モラハラをする人の浮気率が一般の人よりどの程度高いかを示す、信頼できる統計も確認されていません。
しかし、自分には特別な権利があるという意識、妻を対等に扱わない姿勢、妻の苦痛への無関心、責任転嫁、男女で異なる二重基準などは、モラハラにも浮気の正当化にも共通し得ます。
特に注意したいのが、「妻が悪かったから浮気した」という責任転嫁です。
夫婦関係に問題があった可能性と、夫が不貞を選んだ責任は別の問題です。家庭に不満があったからといって、浮気の責任まで妻が負う必要はありません。
浮気を疑ったときに大切なのは、夫の言葉に押し切られて自分を責めることでも、証拠がない段階で感情的に問い詰めることでもありません。
まず自分と子どもの安全を確保し、起きていることを記録し、客観的な事実を整理することが重要です。
浮気の証拠は、離婚するためだけに存在するものではありません。事実を知り、夫の説明に振り回されず、これからの人生を自分で選ぶための材料にもなります。
最終更新日:2026/9/3
更新責任者:徳野 制
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