【探偵業法|探偵文庫】

探偵業法成立の裏話

探偵自身が書いた本や探偵のノンフィクションを紹介していくコーナーです。

 

本を通じて、この謎めいた探偵業界の実態を探ります。

 

今回、ご紹介するのは下記の本。

 

「探偵業法」 葉梨康弘 著 立花書房 刊 1,715円(税別)

 

探偵業法成立に中心的役割を果たした元衆議院議員による裏話です。

 

成立の過程でどのようなことが問題になり、どんな議論がなされたのかがよくわかります。

 

探偵業法 書籍

 

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探偵業法成立の経緯

本の前半は立法の経緯を説明しています。

 

当時の探偵業の状況

平成の前半、探偵の業者数はハイペースで増加し、消費者トラブルも急増していました。

 

ひとつは探偵と依頼者のトラブル。

 

法外な料金、やらずぼったくりから、悪質なものは盗聴や恐喝まで。

 

もうひとつは探偵と調査対象者のトラブル。

 

秘密を知られることによる不利益や生活の平穏を乱されることまで。

 

当時、探偵業に対しては何らの法規制もなく、いわゆる「野放し」状態でした。

 

この事態を何とかすべきだという声が国会議員から上がり、議員立法の機運が高まってきました。

 

そこで警察庁出身の葉梨氏に声がかかり、ワーキングチームの事務局長に就任され、3年がかりで探偵業法を確立されました。

 

探偵業法は、ほとんど役所の手を借りずに、議員らだけで法案を書き上げた、非常にまれな例だそうです。

 

規制確立の停滞

この動きが起きる以前、警察内では規制確立への関与には消極的なムードでした。

 

「全国調査業協同組合」のような探偵の業界団体はあったが、組織率があまりに低く、また根拠にできる法律もないために、業界を指導する力はありませんでした。

 

国会も取り組みに消極的で、先延ばしにする議論ばかり行われていました。

 

立法のためのワーキングチーム設置

警察、業界団体、国会の3すくみの中で、一部の国会議員が行動を起こしました。

 

平成16年、内閣部会に「調査業に関するワーキングチーム」が立ち上げられ、葉梨氏は事務局長として法律の中身や実務を担当することになります。

 

まずは海外の法規制の事例を調べたり、国民生活センターや関係団体へヒアリングを行うことから着手しました。

 

苦情の実態を知って、葉梨氏自身も規制の必要性を感じたとのこと。

 

そして新しい法律は、探偵のためのものではなく、「消費者保護」「人権保護」に力点を置いたものにせねばならないと思ったそうです。

 

こうして、平成16年の秋に、警察庁に正式に立法化の検討を要請しました。

 

議員立法へ

しかし、警察庁の作業は遅々として進まず、次回の国会での提案は無理との回答が返ってきました。

 

そこで、葉梨氏が中心になって議員立法で進めていくことになりました

 

警察庁も要請を受けて準備を進めていましたが、まず「調査業」の定義が広すぎることが問題でした。

 

単なるアンケート回収やジャーナリズムまで含まれかねないような内容で、それでは言論規制が立法の本当の目的ではないかといった疑念を引き起こしてしまいます。

 

そこで、トラブルが起きている中心分野に絞り込んで「探偵業務」を新たに定義しました。

 

法の骨子確立

海外に見られるような免許制ではなく、届出制にしようという柱も明確になってきました。

 

第一の理由は、免許制にするということはこの業を公認するということでもあるが、それに対する世間の抵抗が大きいだろうこと。

 

第二に、免許制にするには行政が探偵業の実態を熟知する必要があるが、情報がないこと。

 

第三に、この問題に限らず、なるべく免許制を避けて届出制にしようという風潮になってきていたこと。

 

これは免許の関連団体が天下りの温床になりやすいためです。

 

そして暴力団などを排除するために、最低限の「欠格事由」を設定する方向性も出てきました。

 

法案の名前もわかりやすくするようにしました。

 

当初は「調査業の業務の適正化及び契約者の保護等に関する法律(仮称)」という長たらしくてわかりにくい名称だったのを、「探偵業の業務の適正化に関する法律」としました。

 

郵政政局でいったん廃案に

こうして法案はよいものが準備できたのですが、民主党が郵政改革に反対して審議入りを拒否したため、議論さえされずにいったん廃案にされます。

 

議員立法の審議は常に後回しにされるため、政局の大きな動きがあると、こういうことが起きるのです。

 

全会一致で法案可決

平成17年、郵政解散の結果は与党の圧勝という結果になり、改革断行への国民の支持が鮮明になりました

 

同年秋の国会ではようやく探偵業法を積極的に審議していこうという空気が生まれ、翌春からは民主党も本腰を入れ始めました。

 

こうして平成18年5月19日の衆議院内閣委員会において、全会一致で法案が可決されました。

 

逐条解説

本の後半は条文ひとつひとつについて、どんな事情を踏まえてどんな意図でそういう風にしたかを解説しています。

 

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