パートナーが突然離婚を切り出してきました。
別の人といっしょになりたいので別れてほしいそうです。
話も聞かず、何もくれずに一方的に捨てられそうです。
今回はこの事態への対処方法を考えます。
相手のこんな要求に応じる義務はありません。
自分が離婚届に署名・捺印しない限り、協議離婚は成立しません。
頑として拒否していれば大丈夫です。
ただ、相手が強引な性格で自分が押しに弱い場合、拒否しきれない恐れがあるかもしれません。
そういう場合は弁護士を立てて、自分一人では相手と接触しない方法もあります。
次の段階として家庭裁判所に離婚調停を申し立ててくる可能性があります。
調停とは裁判所に間に立ってもらっての話し合いのことです。
しかし、調停は夫婦双方が合意しない限り成立しないので大丈夫です。
あくまで拒否です。
調停が不調だと相手は裁判を起こしてくる可能性があるので、次はその対策です。
離婚の原因を作った側を有責配偶者といいます。
今の場合、不貞行為(浮気)をした方です。
有責配偶者の方から離婚の請求自体は可能ですが、あなたが拒否すれば請求は棄却されます。
有責配偶者の離婚請求を認めるのは人倫的におかしいので、そういう通例になっているのです。
だから浮気調査で証拠を取っておけば、これに備えることができます。
協議離婚届の提出は簡単というメリットがある反面、偽造書類でも受理されてしまいます。
受理されるといったん協議離婚が成立し、取り消しには家裁に無効を訴える調停を申し立てる必要があります。
勝手に離婚届を出されると、非常に面倒なことになるわけです。
これを防ぐために、離婚届不受理申出書を役場に出しておきましょう。
そうすると相手が勝手に離婚届を出しても受理されず、かつ届出があったことを通知してもらえます。
提出先は本籍地の役場が望ましいです。
ほかの場所でも提出できますが、本籍地に転送されます。
そのタイムラグの間に離婚届が受理されてしまう危険があります。
以上のように対策を打った上で、愛人と別れてやり直せないか、話し合ってみてください。
話し合っても離婚の意思は固いかもしれません。
その時は離婚に応じる代償としてできるだけのものをもらいましょう。
離婚には慰謝料・財産分与・婚姻費用等のお金の問題と、親権・養育費等の子供の問題が絡みます。
失意の中でうかうかしていると、そういうものまで全部失ってしまいます。
離婚に詳しい弁護士を雇って、これらにおいて最も有利な条件を引き出すべきです。
パートナーから突然離婚を切り出されたら、動揺し絶望すると思います。
相手が自分の人生を振り回し、なすすべがないように感じることでしょう。
しかし、実は主導権を握っているのはあなたです。
今述べたように、あなたがOKしない限り離婚は成立しません。
仮に身勝手な裁判を起こされても、浮気の証拠を持っていれば、決定権はこちらにあります。
あなたが承諾しない限り、相手は自分の願望を実現できないのです。
相手には今のまま不倫を続ける選択肢もあるはず。
なぜ急に離婚を言い出したのでしょう?
早く別れて浮気相手と再婚したい特別な理由がある可能性大です。
次のような事情があるのではないでしょうか?
どれも期限があります。
早くしないと1では子供が今の夫婦の子として生まれてしまうし、2や3では縁談が流れます。
相手は焦っているのかもしれません。
離婚を承諾してくれるなら、お金や親権の面で大幅な譲歩をしてくる可能性があります。
離婚が避けられない場合は、最大限のものを引き出しましょう。
遅くとも愛人と別れてやり直してくれる見込みがなくなった段階で、弁護士を雇った方がいいのではないかと思います。
相手が強硬に離婚を求めてくる場合、どこかの段階で弁護士を立ててくるでしょう。
家裁に行ったら立ててくるし、協議離婚の段階から立ててくるかもしれません。
そうなったらもうこちらも弁護士を立てた方が安全です。
弁護士は交渉のプロですから、素人が戦ったら負けます。
離婚を承諾させられるだけで済まず、一気にお金や親権でも不利な条件を飲まされてしまうかもしれません。
財産分与・慰謝料や親権・養育費がどうなるかは、離婚後の人生を左右します。
プロとの闘いはプロに任せて自分の人生を守ってください。
特にマイホームや大きな金融資産がある場合、子供がいる場合などは弁護士を頼むべきです。
なお、弁護士は離婚問題に詳しい先生を選ばねばなりません。
法律上は「〇〇専門弁護士」などというものはなく、すべての法律問題を扱えますが、現実にすべての分野に精通するのは不可能です。
詳しくない先生に頼むと交渉戦略を間違えたり、最善ではない条件で妥結してしまう危険があります。
早めに動いていい先生を見つけましょう。
なお、浮気調査をした探偵事務所でも紹介してもらえることがあります。
ある探偵社の社長に取材した時に聞いた話ですが、慰謝料は裁判まで進むと大して取れないそうです。
慰謝料を高く取る秘訣は、戦略とタイミングをよく考えて示談で終らせることです。
そこで関係するのが先ほど書いた「相手が離婚を急ぐ事情」です。
例えば愛人が妊娠している場合、相手は出産前に再婚して、愛人の親も安心させたい。
それが間に合うギリギリのタイミングが慰謝料を一番高く取れるタイミングです。
夫が経営者や資産家の場合は、非常に大きな金額が取れるかもしれません。
示談の段階では上限とか相場はないのです。
「それだけ払ってでも解決したいし、実際に払える額」でいいのです。
それが離婚問題に疎い先生に頼むと、裁判での相場を参照して安い金額で妥結してしまいます。
ここで注意してほしいのが、仕返しで自分も浮気をするのは絶対ダメということです。
こういうことをする人は多いのですが、自分の防衛線を自分で破壊する行為です。
相手が有責配偶者だから裁判での離婚請求を拒否できるのに、自分も浮気をしていたらそれがなくなります。
浮気調査をされた側が浮気調査をかけ返すのは、実はあるあるなのです。
もし、あなたが相手の浮気の証拠をつかむ前に、自分の証拠をつかまれてしまった場合はさらにマズイ事態になります。
相手はあなたが不貞行為(民法上の肉体関係のある浮気のこと)をした廉で離婚裁判を起こせます。
まさにオウンゴールです。
以上のようにこういうケースでは相手の浮気の証拠は重要な役割を果たします。
早めに探偵に浮気調査を頼んで証拠を押さえるべきです。
交渉が進むとそのうち「有責配偶者がどうのこうの」と口走ってしまい、相手が浮気調査を警戒する可能性があります。
警戒度が高まった相手を尾行するのは大変です。
自分の行動予定に関する情報を隠すようになるので、浮気のタイミングもつかみにくくなります。
必然的に調査期間が延び、費用もかさみます。
強気の交渉ができるようにするためにも、証拠=武器を早く手にいれましょう。
下記の本には、3人の弁護士さんの共著で、離婚の準備作業が網羅的に書かれています。
1冊だけ選ぶならぜひこの本を読んでおいてほしいです。