川西市役所盗聴事件に思うお役所や会社の危機管理|探偵の企業調査考察ノート

川西市役所盗聴事件に思うお役所や会社の危機管理|探偵の企業調査考察ノート

川西市役所盗聴事件に思う

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企業における不祥事や詐欺をはじめとする諸問題と、探偵を活用した解決方法を考察していくコーナーです。

 

今回は2020年10月に起きた川西市役所(兵庫県)の盗聴事件を取り上げます。

 

「お役所も秘密漏洩に対する危機感を!」と叫びたくなる事件です。

 

2021年11月22日のYahooニュース(引用)

【速報】兵庫・川西市役所で盗聴器が見つかる「入札関連部署」近くのコンセントに設置 市長「市民の個人情報が漏洩した可能性は薄い」

 

兵庫県の川西市役所の庁舎内に盗聴器が仕掛けられていたことが明らかになりました。盗聴器は入札に関連する部署の近くで見つかり、事態を重く見た市は警察に被害届を提出したということです。

 

10月26日、市役所の庁舎から不審な電波が発信されていることをTBS系の番組スタッフが見つけ、市役所に届け出ました。11月3日に番組スタッフと盗聴被害の調査会社らが庁舎内を調べたところ、4階フロアの総務部のキャビネット上にあった電源プラグを差し込むタップ部分に盗聴器が仕掛けられているのを発見したということです。盗聴器はプラグの分配器の形状をしていて、分解すると中から発信器などが見つかりました。

 

4階には市長室や総務部などがありますが、盗聴器が見つかったすぐ近くには秘密の情報がやりとりされる『入札関連の部署』もあります。

 

市によりますと、調査会社は『盗聴機器は一般に販売されているもので、機器内部の状況から最大1年前から設置されていたと思われる』と話しているということです。また、この機器から発信された電波は庁舎から半径200mの範囲でも拾えるということです。

 

川西市は「盗聴機器が設置されていたのは、不特定多数の職員が自由に出入りできる場所であり、ここで機密や個人情報に関する会話はまず行われていない」ということです。

 

また、川西市の越田謙治郎市長は「盗聴機器が設置されていた場所から考えますと、市の機密情報や市民の個人情報が漏洩した可能性は薄いと判断しています」とコメントしています。

 

事態を重く見た市は警察に被害届を提出したということです。被害が明確になっていないことから、警察では何者かが市役所に不法に侵入した建造物侵入容疑で捜査しています。

 

参考サイト: この事件のニュース(サンテレビ)
参考サイト: この事件のニュース(産経ニュース)

 

 

事件についての考察

この事件が報道されてから、さまざまな意見が取りざたされています。

 

盗聴器の種類は電源タップ偽装型
使用されていた盗聴器は、三又プラグなどの電源タップに偽装したタイプでした。

 

これはいろいろなタイプがある盗聴器の中でも一番ポピュラーなものです。

 

電源タップ偽装型盗聴器

【電源タップ偽装型盗聴器】

 

一見するとただの電源プラグにしか見えないので、素人には疑われません。

 

少しでも知識がある人には真っ先に疑われますが。

 

ネジを回して中を開ければ、普通はないはずの基盤が入っていて、素人もカンタンに識別できます。

 

ただ、「盗聴されているかもしれない」という危機感がない限り、気づくのは無理でしょう。

 

このタイプはコンセントから電源を取るので、除去しない限り、半永久的に盗聴され続けます。

 

目的は何か?
それにしても、この盗聴の目的は何だったのでしょうか?

 

いろいろな憶測が流れています。

 

パワハラの証拠、内部告発、部下の監視、入札工事情報の入手など。

 

仮に市民の個人情報を扱うことがない部門というのが本当だとしても、組織内のコンプライアンス違反の可能性が残ります。

 

あるいは昔に何かの目的で設置されたものが残っていて、今も電波を発しているのかもしれません。

 

調査番組はガチ
テレビでよくやっている盗聴器発見の番組が今回は事件発覚につながりました。

 

ああいう番組が(少なくとも今は)ヤラセではなく、ガチだということが分かってもらえるはず。

 

探偵社が協力して結婚詐欺を解明したり、人探しをする番組もガチです。

 

テレビで有名な原一探偵事務所では、番組協力では多大な人員と労力を投入すると言っていました。

 

スポンサー・テレビ局・制作会社のために、何としても番組を成立させないといけないので、必ず結果を出さないといけない。

 

まさに真剣勝負の調査です。

 

コロナ期間中はその種の番組も減ってしまいましたが、大手有名社のFujiリサーチはコロナ期間中もコンスタントに番組協力していたようです。

 

役所の危機感の欠如
話を事件に戻しましょう。

 

これは氷山の一角だと思います。

 

盗聴に対する危機感は、民間会社も温度差があると思いますが、お役所は本当にぬるいはずです。

 

市長は「市民の個人情報が漏洩した可能性は薄い」と言っていますが、本当でしょうか?

 

「盗聴機器が設置されていたのは、不特定多数の職員が自由に出入りできる場所であり、ここで機密や個人情報に関する会話はまず行われていない」と言っていますが、それは大半の職員が帰宅した時間帯も確かなのでしょうか?

 

先に結論ありきでちゃんと精査していないのではないかと疑われます。

 

また、ほかにはもう盗聴器がないか徹底調査することはしたのでしょうか?

 

盗聴器を仕掛ける時に複数仕掛けるのは「あるある」です。

 

しかし、関係者は火消しに熱心で、「役所で盗聴器が見つかった」という事実に衝撃を受けているようにはあまり見えない。

 

こんなに呑気だと、個人情報、入札情報、さらには安全保障上の重要な情報まで盗聴されてしまうかもしれません。

 

これからの時代、役所も定期的に盗聴器発見をする習慣を普及させるべきではないのか、と思えた事件でした。

 

盗聴器発見は安価で簡単
盗聴器発見は、盗聴器発見器を作動させ行います。

 

電源タップ偽装型は恒常的に電波を発していますが、普段は休眠していて物音や部屋の電気などに反応して起動するものもあります。

 

起動中で電波を発しているものしか検出できないので、調査を始める前に電気を点け、音楽などを鳴らします。

 

盗聴器発見器の例

【盗聴器発見器の例】

 

電波をキャッチすると発見器はハウリング音を発するので、その音が強くなる方向を探して場所を特定します。

 

 

盗聴器発見は簡単な調査で、探偵の仕事では一番安価です。

 

事件の区役所も思い込みで安全宣言する前に、一度しっかり調査してみてはどうかと思います。


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