今回は、離婚裁判に必要な証拠と親権争いに役立つ証拠は別物だという話です。
よくわかっていない探偵に頼むと、返事だけはよくて普通の浮気調査をやって前者だけ入手します。
親権争いのこともちゃんと説明したにも関らずです。
そして弁護士に相談すると「これは親権争いには役立たない」と言われます。
あるあるの話なので、親権がほしい方はよく読んでください。
先にこちらを手短に説明します。
浮気が原因の離婚話で協議離婚(当事者の話し合いによる離婚)がまとまらなかったとします。
次に家庭裁判所での調停(裁判所を介した話し合い)もうまくいかなかったとします。
なおも離婚を求めるなら、不貞行為(肉体関係のある浮気)を理由に離婚判決を求める裁判を提起します。
「不貞行為の証拠」にはラブホテル出入りの写真などが用いられます。
不倫カップルを尾行してそういう写真を撮るのが、探偵の浮気調査です。
慰謝料請求に使うのもこの証拠です。
浮気調査しか知らない探偵なら、次のような説明をするかもしれません。
「浮気をするような人は親失格。だから不貞行為の証拠は親権争いにも役立つはずです。」
しかし、家庭裁判所はそうは考えないのです。
「浮気をしようがしまいが関係ない。子供にとっていい親かどうかが基準。」
そういう考え方でどちらが親権を持つのが適切か判断します。
だから親権争いになった時に弁護士から「ほしい証拠はこれじゃない」と言われるのです。
では、親権とは何か、親権者はどう決まるのかを説明しましょう。
未成年の子供が成人になるまで、その利益を守る親の権利と義務のことです。
親権の内容には「財産管理権」と「身上監護権」という2要素があります。
財産管理権 |
一人で法律行為ができない未成年者の財産を保護するために、代理権や同意権を持つ。 |
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身上監護権 |
子供を健全に育てるための権利と義務。次の3つが代表。
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結婚している間は両親が共同で親権を持ちますが、離婚すると必ずどちらか一方が親権を持ちます。
欧米では離婚後も共同親権が一般的であり、日本でも導入が検討されてはいます。
しかし、現状の日本では、離婚後は単独親権です。
未成年の子供全員についてどちらが親権を持つか決めてからでないと離婚はできません。
親権の帰属は夫婦の協議で決定できます。
しかし、話し合いで決められなかった場合は、家裁に行き、離婚調停の申立てに加えて親権者指定の申立てを行います。
中立の立場の調停委員の仲介のもとで、離婚と親権について話し合います。
家庭裁判所調査官が、子供の状況など必要に応じた調査も行い、調停の場に情報提供します。
ここでも話し合いがまとまらなかった場合は、裁判を提起し、裁判官に決めてもらいます。
(その前に審判という手順が入る場合もありますが説明は省きます。)
裁判官の判決は強制力があります。
このように裁判まで行ってしまった場合に、望むような判決を出してもらいやすい証拠を入手する。
――それが今回のテーマなわけです。
では、どちらが親権を持つべきかを家裁はどんな判断基準で決めるのか?
「子供の利益になる方を選ぶ」という根本原則は不変です。
それを判断するにあたり、下記のような事を参考にします。
親権者が一度決まると、よほどの事情がないと変更できません。
むやみに変えないのが子供の利益と考えられているからです。
変更は当事者の話し合いで決められず、家裁の調停・審判が必要です。
親権者が死んだ場合も、生存しているもう一人の親に自動的に親権が移るわけではありません。
いったん親権者のいない子として未成年後見が開始されます。
その上で、生存している親が親権を望むなら家裁に審判を申し立てます。
しかし親権者は遺言で未成年後見人を指定しておくこともできます。
その場合、亡き敵の息のかかった後見人と戦って勝たねばならないわけです。
要するに、いったん親権を取られると取り戻すのはとても難しいということです。
親権がほしいなら最初に勝ち取っておかねばならないのです。
ここまでの説明で、親権争いにラブホ出入りの写真を持ち出すのが的外れであることは理解できると思います。
しかし、「浮気相手と遊び呆けて子供のもとに帰っていない」状況も確認できた場合は使えます。
浮気の証拠であるとともに育児放棄の証拠でもあるからです。
あるいは浮気調査とは別に親子を尾行して虐待の証拠写真を狙う調査も考えられます。
親権争いに関与した経験のある探偵や弁護士が司令塔になっている場合は、探偵は役に立つわけです。
ここではある状況を設定して親権争いを具体的に考えてみます。
実際には戦略はいろいろあるはずなので、理解を助けるための一例とお考えください。
自営業の夫は、妻の浮気と浪費に悩まされてきた。
妻は自己中心的で主張が強い。
平気で嘘をつき、自分のいいように事実のすり替えまでやるような性格。
家事もあまりしないし、5歳の男の子の世話も不熱心。
しかし、夫は気が弱く、これまでずっと我慢してきた。
育児は、近所に住む両親の助けも借りながら、夫が中心になって行ってきた。
ついに限界が来て先日、浮気調査の結果をつきつけて離婚を求めた。
すると気づかないうちに子供を連れて実家に帰ってしまった。
離婚するなら親権を取るので、養育費を要求すると言っている。
夫は「こんな女に子育ては無理」と考え、親権を希望している。
上記の状況設定が真実なら、夫にとって実に理不尽な話です。
読者もこんな母親に親権を持たせるのはおかしいと思われるでしょう。
しかし現実には、夫は圧倒的に不利な状況です。
統計的には、父親が親権を取れる確率は11~13%程度です。
裁判官にもよるとは思いますが、家裁の母性信仰は堅固です。
子供を虐待し、殺害までする母親が多発する現代においても、それは簡単には揺るぎません。
今も子供が小さい場合は母親が親権者に指定されることが多く、父親が覆すのは困難です。
子供が慣れているなら、環境を変えない方がいいという考え方があります。
だからこの状態のまま長引くと、やはり母親と暮らさせるのがいいだろうという判断になります。
覆したいなら、何らかのアクションを急ぐ必要があります。
これまでどちらがメインで育児をしてきたかが「元の監護状況」です。
これが親権判断の重要要素のひとつであることはすでに述べました。
我々は、育児は夫が中心になってやってきたことを知っています。
だからこの面では夫が有利なはずだと考えます。
しかし、家庭裁判所調査官は真実が全部わかるわけではありません。
妻の方は、性格からみて「育児自分が中心になってやってきた」と強く言い張るでしょう。
夫は子供を虐待していたといった虚偽の主張までしかねません。
妻の方は饒舌に「自分がいかに良いママか」を語り、夫は口下手で要領を得ない。
そうなると意見の強い方に流されて、母親の言い分を鵜呑みにするかもしれません。
例えば、妻の素行調査をかけて次のような行動記録が取れれば、逆転のチャンスもでてきます。
妻は自分の実家にたまにしか帰っていない。
昼間はパチンコ屋に入り浸り、夜は飲み歩いて、男の家に泊まることが多い。
相手の男は前科のある反社系のビジネスマンと判明。
実家には妻の母親しかおらず、子供の面倒はその人が見ている。
時々、子供を公園に連れてきたりしている。
かなり高齢で健康状態も悪いらしく、しんどそうな様子が映っている。
妻が子供をショッピングセンターに連れていく様子が撮れた。
時々怒鳴りつけるので子供が委縮している。
我慢できなくなって泣き出すとひっぱたいている。
フードコートでは子供に駄菓子を与えて、自分だけ食事をしていた。
ちょっと極端な例ではあります。
しかし、ここまでひどいと裁判官もさすがに母親は親権者に不適格と判断する可能性があります。
親権問題に詳しい弁護士が司令塔になり、腕のいい探偵と組めば、勝機はあると思います。
以上のように、親権獲得のための調査は浮気調査とは違います。
しかし、合法業者だけで6,600社以上の届出がある探偵の大半は、浮気調査しか経験したことがありません。
親権獲得の調査は特殊なので、経験の幅が広いしっかりした探偵に頼むべきです。
今、リーズナブルで優秀な大手が台頭してきています。
是非、下記のページを読んでみてください。