Facebookビジネス系・結婚詐欺の手口と対策｜大手有名探偵社の幹部に聞く調査経験

【MJリサーチ若梅探偵】

 

 

 

 

 

この詐欺のターゲット像

Facebookのプロフィールや投稿内容から判断して、次の条件に当てはまる女性です。

 

 

①について、もう少し上の人も時々いますが、５０代以降では国際ロマンス詐欺の方が多いです。

 

⑤は、スキルアップ・副業・起業に興味あれば、なおピッタリです。

 

 

Facebookを使う理由

いろいろなSNSがある中でなぜフェイスブックが好んで使われるのか？

 

そこには２つ理由があると思われます。

 

理由１　年齢層高く、ターゲットが豊富
InstagramやTikTokの場合、女性ユーザーが多いですが、年齢層は若く、結婚詐欺のターゲットが豊富とは言えません。

 

理由２　ターゲット探しに便利な仕様
ユーザーのライフスタイル・考え方・友人との交流が一番よく見えるSNSだといえます。

 

先ほど説明したターゲット像にピッタリの女性を探しやすいです。

 

「映える」脚色をされた画像中心のインスタや短い文字情報中心のTwitterは、ユーザーの実像が見えにくいです。

 

 

「ビジネス系」の意味

１．男性は成功途上の起業家という設定
昔から結婚詐欺師の設定は、大学教授、社長、エリートサラリーマン、IT企業勤務など、高収入そうな知的職業です。

 

この結婚詐欺では、オンもオフも充実している社長という設定ですが、何の仕事かはあいまいです。

 

２．ビジネス系の話でアプローチ
「投稿を見て仕事への姿勢に共感した」とか、「あなたの業界の人と情報交換したかった」とか、ビジネス系の理由で近づいてきます。

 

その後もビジネス系の話のやり取りで、尊敬の念・信頼感・憧れを醸成します。

 

明確に恋愛関係の構築に舵を切るのは、実際に会った後です。

 

３．お金の要求理由も「会社のため」
結婚詐欺師は、裕福なはずなのに、交際開始後しばらくするとお金がない緊急事態が発生します。

 

それを助けなければいけないと思わせ、お金をつぎ込ませるのです。

 

その緊急事態の設定は、親の急な大手術など、手口によっていろいろなものが使われます。

 

この手口では、男の会社の資金繰りの危機です。

 

女性に男の会社は運命共同体だと洗脳し、その危機を救う名目でお金を出させます。

 

 

１．詐欺師自身のアカウント充実

まず成功している経営者の演出に力を入れます。

 

さりげなくブランド品をまとい、外車に乗り、ぜいたくで楽しそうな生活の写真をたくさんアップします。

 

友達も多そうで、いつも笑っています。

 

言葉は常に前向きで、ビジネスへの情熱に溢れています。

 

２．ターゲットの物色

フェイスブックではユーザーの関心に応じて、知らない人の投稿がタイムラインに表示されます。

 

詐欺師の投稿は次のような女性のタイムラインに出るかもしれません。

 

向上心があり、副業や起業に興味があり、優れたビジネスマンを尊敬する女性。

 

すると女性は思わず詐欺師の投稿に「いいね」をつけたりするかもしれません。

 

詐欺師の方もターゲットを探していて、カモになりそうな女性の投稿に「いいね」やコメントをつけて種まきをします。

 

こうして二人の間に接触点ができます。

 

３．ビジネス系のアプローチ

詐欺師の方から「ビジネスの情報交換をしたい」といった口実で友達申請（フレンドリクエスト）してきます。

 

女性はまじめな人ですから、下心のありそうなフレリクなら、即座に却下するところです。

 

しかし、自分のレベルアップや将来につながるご縁かもしれないと思えば、ガードも下がります。

 

すごそうな経営者の方から誘われて、女性は恐縮しながらも期待に胸膨らませ、OKします。

 

４．メッセージ交換で信頼感醸成

友達になった後は、プライベートなメッセージ交換を続けます。

 

LINEなどに誘い出す場合もあるでしょう。

 

話題はビジネス関係です。

 

女性は、丁寧な言葉遣い、ビジネスへの真剣な姿勢、ポジティブな考え方などに好感を持ちます。

 

メッセージ交換を重ねるほど、相手への尊敬・信頼感・憧れが育っていきます。

 

５．リアル面会の設定

十分信頼されたところで、詐欺師は実際に会おうと提案してきます。

 

「より詳しい話をしたい。それに相談したいこともあるので。」などと。

 

尊敬する経営者が「私に相談事がある」ですって？

 

女性は舞い上がりながらOKします。

 

指定の待ち合わせ場所に、ブランド品をさりげなくまとった詐欺師が現れます。

 

容姿はいい場合もありますが、それほどではない場合も多いです。

 

しかし、余裕・自信・やさしさに溢れていて、すごいモテオーラがあるのは共通です。

 

荷物を持つ・扉を開けてあげる・着座の際に椅子を引いてあげるなど、エスコートぶりも完璧。

 

おしゃれなお店に案内して、高級料理を奢ってくれます。

 

話題はビジネス系の話に始まって、お互いのことなどにも広がります。

 

楽しく盛り上がりますが、口説いたりはしません。

 

しかし、女性の心の中では「楽しい！もし恋に発展したら...」という期待が高まっています。

 

別れ際にようやく、詐欺師はビジネスから恋愛に舵を切ります。

 

 

６．結婚への期待感の醸成

２回目のデート以降は、まず恋人の関係を確立した後、早い時期から結婚を匂わせます。

 

その際、「結婚」とはっきり言わず、次のような表現を使うことが多いです。

 

 

どれも古風な表現で、チャラチャラしていない硬派な人という印象を受けます。

 

しかし実際は逆で、あとでもし捕まった時のために予防線を張っているに過ぎません。

 

「結婚をちらつかせて騙したことはない」と言い訳できるように、「結婚」という言葉を使うのを避けているのです。

 

しかし、女性の方は「彼は結婚を考えている」と理解してしまいます。

 

そして④は、今後自由にお金を引き出すための洗脳の第一手を兼ねています。

 

７．出金テスト

女性の結婚への期待が高まってきたら、一度テストをします。

 

「少々のピンチなら快くお金を出して救おう」という気持ちになっているかのテストです。

 

男は現金の手持ちがなく、カードも使えないような状況を演出します。

 

ここですぐにお金を出せば、テストは合格で本格的な搾取に進みます。

 

渋ればまだ十分信用されていないので、もう少し時間を取るなど、戦略を練り直します。

 

女性が奢り返してきたり、比較的高価なプレゼントをしてきた場合は、テストするまでもありません。

 

 

８．危機の発生＝最初の出金

つきあってしばらくすると、裕福なはずの男に金銭的危機が発生するのが、結婚詐欺師の常套手段です。

 

この危機は必ず下記の３つの特性を備えています。

 

 

今回の手口での金銭危機は、「男の会社の一時的資金不足」が使われます。

 

会社の資金不足の原因

 

支払うと多大な感謝
初回の要求は５０万円くらいのレベルが普通。

 

払ってあげるとものすごく感謝されて気分もよくなります。

 

９．洗脳と本格搾取

嵐が去ってまもなく次の危機が訪れ、要求額が跳ね上がります。

 

「会社の運命＝女性の運命」と刷り込んでいきます。

 

 

支払を渋ると別人のような荒々しい言葉で罵倒します。

 

最後は人格否定まで行きます。

 

 

耐えかねて支払うと、先ほどとは正反対の甘く温かい感謝が来ます。

 

 

実はこれらは相手を飼いならすための「アメとムチ」なのです。

 

極端な振れ幅で「アメとムチ」を繰り返して洗脳し、お金をどんどん奪っていきます。

 

いよいよ貯金が底を尽くと、最後は借金で用意するよう命じます。

 

消費者金融でも親や友達でも誰でもいいから借りてこい、と。

 

１０．行方をくらます

「もう絞りつくした」、または「女性が怪しんで周囲に相談しはじめた」と判断すると、男は姿を消します。

 

電話・メールなども応答しなくなります。

 

 

結婚詐欺調査の内容

まず住所が本物かチェック。

 

嘘なら相手を呼び出してもらい、それを探偵が尾行して自宅をつきとめます。

 

住所調査

受任すると最初に、依頼者から相手男性のことで分かっている情報をすべて聞き出します。

 

氏名、住所、勤務先・会社の所在地、出身地、出身校、身体的特徴、もしあれば写真、これまでの経緯・・・・

 

その中でとりあえず住所調査をかけてみます。

 

自分で言った住所に住んでいると確認されれば、少なくともプロの詐欺師ではありません。

 

駆け出しの結婚詐欺師か、お金にだらしない一般人。

 

ごくわずかですが、本当に窮地に陥っている一般人である可能性も残されます。

 

住所がウソの場合
この時点でほぼ詐欺師確定です。

 

しかし、詐欺被害で加害者不明では被害届の受理すらしてもらえないでしょう。

 

本人としても、もう少しはっきしないと諦めきれない。

 

娘に交際断念を説得する場合も、もっと強力な証拠がほしい。

 

というわけで、次の所在調査に進む人が多いです。

 

住所を知らない場合
何か調べたいなら、次の所在調査に進むしかありません。

 

所在調査

まず、依頼者に男を呼び出してどこかで会ってもらいます。

 

探偵は張り込んで待ちます。

 

依頼者と別れた後、男を自宅まで尾行し、住所をつきとめるのが所在調査です。

 

あとは名前ですが、すぐにわかる場合とひと手間かかる場合があります。

 

しかし、たいていわかります。

 

 

調査で得られるもの

 

１．事実の解明

詐欺だという証拠がつかめれば、きっぱり諦めて次に進めます。

 

迷わずお別れしましょう。

 

これ以上、お金と人生の時間をムダにしないで済みます。

 

これが何と言っても最大の成果でしょう。

 

２．貸したお金の回収

居所がつかめれば、証拠を使って弁護士に返金交渉をしてもらうことが可能です。

 

「返金しなさい。さもなければ警察に突き出します。」というわけです。

 

どれだけ返ってくるか保証はありませんが、とにかく一度トライしたい方は多いです。

 

実際、返金に応じることはあります。

 

探偵と弁護士のチームで対応
探偵が返金交渉を代行したり、交渉の場に同席するのは弁護士法違反（非弁行為）です。

 

一方、弁護士は、自分で探偵のような調査はできません。

 

よって返金交渉は探偵と弁護士がチームを組んで進めます。

 

探偵は証拠をつかむ係、弁護士は証拠を使って法律で攻める係と言う役割分担です。

 

弁護士が切れるカード（証拠）をどれだけ充実させられるかが、探偵の腕の見せ所です。

 

３．警察への被害届

暴行、傷害、器物破損、窃盗などと違い、結婚詐欺は証拠がないと受理されにくいです。

 

結婚詐欺なのか、本当に結婚前提で財布を共通にしていたのに別れただけなのか、警察には判断できません。

 

すると民事不介入（民間の争い事に首をつっこまない）の原則に従い、不受理となりやすいです。

 

また、加害者不明でも被害届は出せますが、警察も手掛かりがなくて、捜査は困難です。

 

刑事告発と違って被害届に捜査義務はないので、放置になりやすい。

 

探偵が証拠をそろえることで、これらのハードルをクリアして、被害届が受理されやすくなります。

 

ただし、返金交渉がしたいなら、被害届は後回しです。

 

逮捕されてしまうと、お金を取り戻すのは逆に難しくなります。

 

被害者全員に賠償するのは、一生をかけても不可能だからです。

 

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