新規の大きな商談は飛びつきがちですが、取り込み詐欺の可能性もあります。
うまい話には落とし穴がつきもの。
その種類や調査方法などをご紹介します。
調査を怠って被害に遭った事例も紹介します。
支払いが仕入れより後であることを悪用して、大量の商品を詐取する詐欺です。
仕入れた商品を売りさばいて換金し、代金は支払わずに姿を消すか、計画倒産します。
食品・家電・文具・洗剤・金券など、換金しやすい商品を扱っている会社。
そして、売上がぜひ欲しい物販会社がターゲットになります。
大きな注文が入ると営業マンは大喜びですが、上司は慎重に精査すべきです。
いきなり大口注文をしてくる場合はまだ注意しやすいです。
しかし、何度か小口の注文をして信用させてからやられると識別困難です。
21世紀に入ってからの大きな事件としては、2015年7月の「心優花」があります。
「心優花」は大阪市の食品卸会社で、取り込み詐欺を行いました。
東日本大震災の復興支援の商談会を利用した悪質なものでした。
ほかにも反社取引やブローカーの詐欺など、多様なリスクがあります。
取引開始後に反社企業と判明すれば、自社の信用を落とします。
場合によっては、企業の存続に関わる厳しいペナルティを受ける可能性があります。
銀行口座がのきなみ凍結や閉鎖に遭う可能性もあります。
企業信用調査や反社チェックをしっかりやるべきですが、通り一遍のものでは不足な場合もあります。
例えば、相手が非上場の小さな会社の場合、オープンに得られる情報には限界がある。
不審な点があるなら、さらに徹底的に調べるか、取引を保留すべきです。
相手が普通の会社ではなく、フィクサー・ブローカー・コーディネーター等の場合はさらに危険です。
経営者や幹部の専決事項として、企業のチェック機能が働かなくなることが多いからです。
企業信用調査会社に頼んで、調査対象の会社の経営状況などを調べてもらうものです。
企業信用調査業界は、上位2社でシェア90%とも言われる寡占業界。
しかし、業界専門性など特色をもった小さな国内企業や外資系企業も多数存在しています。
調査会社独自のネットワークやデータベースを用いて調査するほか、相手の了解を得てヒアリング調査もしてもらえます。
調査員が対象企業を訪問し、資料の提供を受けながらヒアリングし、報告書にまとめてくれます。
2007年に政府が企業暴排指針(※)を発表。
以降、企業取引における反社会勢力の排除が厳正化しています。
※企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針
2011年にはすべての都道府県で暴力団排除条例が施行されました。
企業暴排指針は、反社会的勢力とは、取引関係を含めて、一切の関係をもたないことを求めています。
取引関係の維持は資金提供とみなされ、自社も反社性を帯びると判断されます。
取引が発覚すると厳しいペナルティを課されます。
行政処分、融資停止、上場廃止など、企業存続の危機につながるものです。
2015年には反社の疑いのある企業に第三者割当増資をしようとした上場会社が、実際に上場廃止になる事例が出ました。
仮にそこまで行かなくても、企業のブランドイメージ失墜は免れません。
よって新規の取引には、相手企業の反社チェック(コンプライアンス・チェック)が欠かせません。
警察の情報の利用は一定の手順を踏むことが求められ、簡単に使えません。
そこでまずはネット検索(Google等)と新聞記事データベース検索(日経テレコム等)を行います。
さらに必要に応じて反社チェックサービスを併用した調査が行われます。
反社の疑いが濃厚で、社内での解決が危険になってきた時には、弁護士や警察への相談に進みます。
世の中には、普通の営業アプローチでつながれない有力者や団体が存在します。
企業の経営においては、そういう存在への裏のコネクションがどうしても欲しい場合があります。
そして、そういうコネで商売をしているフィクサー・ブローカーといった人種がいます。
垂涎の物件を所有している地主などもこの部類。
本物であれば今まで固く閉じていた扉が一気に開くので、抗しがたい魅力があるのは理解できます。
しかし、企業に深刻な被害をもたらす詐欺師も少なくありません。
相手の機嫌を損ねたり、他社に取られるのを恐れて、経営者や幹部の専決事項扱いにしがちです。
しかしそれが会社の正常なチェック機能を停止し、危機を招き入れるのです。
いつも通りにチェックしていれば防げた被害に遭ってしまうのです。
こういう人物の調査は企業信用調査会社の手には余ることも多いです。
探偵はここまで列挙した企業信用調査会社などができない実地の調査ができます。
オープンデータや普通に相手から聞き出せる範囲を越えた情報が欲しい時、活用を検討してみてはどうでしょうか。
対象の企業や人物を知る人から聞き込みをしたり、様々なデータ類を集めるという手段で、相手に知られないように情報を集めることです。
聞き込みは聞き込みと悟られない手法で行います。
実行には、短時間で相手に信用され、情報を引き出せるキャラクターとスキルが必要です。
これができる探偵は限られています。
尾行と隠し撮りにより、対象の行動を時系列に記録する調査です。
浮気調査や素行調査で用いられる、最も基本的で応用範囲の広い探偵技術です。
キーマンの行動を探ることができます。
ここでは、新規の大きな取引に当たって相手のことをざっとでも調べてみなかったために大きな被害を出した事例を2つ紹介しましょう。
2017年に積水ハウスが土地の購入代金55.5億円を「地面師」という詐欺師に騙し取られた事件です。
その土地は山手線五反田駅そばの旅館「海喜館」で、不動産業界では垂涎の一等地でした。
東京のど真ん中に600坪もの土地はなかなかないからです。
都心のマンション用地を探していた積水ハウスのマンション事業部。
ここにこの土地の売却の話が持ち込まれました。
【時価100億円と言われた土地「海喜館」】
またとない好機ですが、詐欺の危険ということはないでしょうか?
こういう場合、普通は持ち主の顔写真を近所の人に見せて回り、本物の所有者に間違いないか調べます。
というのは、所有者を騙って土地代金を騙し取る「地面師」という詐欺師がいるからです。
しかし、当時の社長の勇み足でこの基本的な地面師対策が省略されました。
他の購入者に先に買われてしまうのを恐れて買い急いだのです。
社内にはこれを危惧する声が多々ありました。
それに場所は人口の多い古い街ですから、聞き込みをやればすぐにわかったはずなのです。
結果は冒頭に示した通りで、多額の被害を出し、世間に恥を晒しました。
不動産のプロでもこんな失敗があるのです。
調べていることを相手に知られたくない事情もあったのでしょうか?
それなら内偵調査の得意な探偵に頼めば、何か方法を考えてくれたでしょう。
これは昭和の昔からある秘密資金話の詐欺です。
徳川埋蔵金にも似た荒唐無稽な話です。
第二次世界大戦で敗戦した日本は占領されてGHQの支配を受けていました。
GHQとは、連合軍最高司令官総司令部のことです。
GHQは占領下で財閥を解体し、接収した財産をもとに秘密資金を創設。
それが今なお運用されているというまことしやかなお話が「M資金」です。
【ウィリアム・マッカート少将】
M資金のMはGHQ経済科学局の第2代局長であったウィリアム・マッカート少将の頭文字。
マッカーサー元帥のそれだという異説もあります。
このM資金に絡んで一山当てたい経営者や資産家が、騙され続けてきました。
昭和の昔から平成、そして令和の現代に至るまで。
みな、一代で財を築いたような見識の高い人ばかりです。
M資金の話が初めて一般に知られたのは、田宮二郎の猟銃自殺によってでしょう。
昭和の人気俳優で、映画「白い巨塔」の主演を務めた初代俳優です。
ちなみに平成版の二代目は唐沢寿明ですね。
【田宮二郎(白い巨塔)】
その後も大手企業の社長や役員が次々にM資金詐欺に引っ掛かっています。
平成に入っても7つのM資金詐欺が摘発され、被害総額は46億円に上りました。
そして令和の現代。
何でもネットで調べられる時代に、さすがにこんな話に騙される人はいないのではないか?
そう思うかもしれませんが、また新たな大型被害が発生しました。
令和2年(2020年)に神奈川県で70代の会社役員が30億円の被害に。
後にこの人物は、スシロー等を経営する大手外食コロワイドの創業者・蔵人金男氏と判明しました。
こういうものも探偵に内偵調査・行動調査させれば簡単に防げたはずです。
参考: コロワイドM資金詐欺の記事(ダイヤモンド・オンライン)
新規の大口取引や未知の実力者は、取引を始める前に基本に忠実に相手のことを調べるべきです。
企業信用調査や反社チェックで物足りない場合は、探偵も検討してみてください。
MJリサーチは大手で20年以上の経験を持つベテランたちが作った探偵社。
創設からわずかな期間で全国展開を果たしています。
探偵社の仕事といえば、普通は浮気調査と人探しが大半。
しかし、MJリサーチは企業関係の調査にも力を入れているのが特色です。
企業関係の調査は、ビジネス世界の知識と経験がない探偵を使うと教育が大変。
この種の調査に慣れたMJリサーチに声をかけてみてはどうでしょうか。