【ナビ役の探偵A氏(左)と私(右)】
新宿三丁目の某ホテルのロビーにて。探偵が外で張り込んでいて、我々がホテルを出た瞬間に尾行がスタートする設定。
原一探偵事務所が2回目の尾行体験をさせてくれました。
前回は、車両尾行がメインで、ショッピングモールの中の徒歩尾行が少しある形でした。
今回は、電車の移動メインの徒歩尾行、しかも新幹線を利用します。
前回の尾行体験でもお世話になった原一のベテラン探偵A氏が今回もナビを務めてくださいました。
プロの尾行がどんなものか、全行程を写真入りでレポートします。
※青帯の写真は自分たちが撮影したもの。赤帯は尾行する探偵チームの撮影。
自分がターゲットになって、探偵に尾行・撮影を行ってもらいます。
出発地点は新宿のホテル、目的地は埼玉県の川越駅。
途中、東京駅から大宮駅まで新幹線を使います。
探偵には、出発地点のみを知らせてあり、途中の経路・交通手段は知りません。
(まあ、尾行体験の後に本社で取材するので、目的地が川越であることは今回は自明ですが。)
私が探偵について知っているのは、3名のチームだということだけです。
尾行される側は、私、ナビ役の探偵A氏、アシスタントの女性の3名です。
我々は無線で探偵たちの交信をモニターしながら進みます。
ただ尾行された後に写真を見せられるだけなら大して感動もしないでしょう。
探偵の会話を全部聞きながら、尾行されるという前代未聞の体験です。
それなのに、探偵がどこにいて、どこで撮られたのかわからないから、原一の尾行体験はすごいのです。
ナビ役の探偵A氏は、要所要所で探偵の交信内容や尾行する側の注意点などについて解説してくれます。
尾行終了後に川越の本社で、探偵が撮影した写真をモニターに映しながら、報告会をしてくれました。
尾行される側が撮った写真(青帯)と探偵が撮った写真(赤帯)を交えながら、全行程を説明していきます。
A氏の解説によると、探偵は複数種類の交通ICカードを持っているとのこと。
SUICAは使えるけど、ICOCAはダメ・・・・そんなことで手間取っていては仕事にならない。
様々な鉄道の改札をスムーズに通過できるための備えということ。
【複数の交通ICカード】
今回は、追われる我々も交通ICカードを1枚ずつ持って、スムーズに移動します。
ホテルの玄関を出た途端、無線交信が始まった。
張り込みの探偵が我々を発見し、進行方向を報告している。
【対象がホテルを出たところで尾行開始!】
矢印はこのサイト用に編集でつけたもの。
相手からはよく見えている様子なので、振り向いたり、見回したりするがわからない。
朝9時半過ぎの新宿三丁目なので、もちろん人通りはあるが、探偵らしそうな人はいない。
【振り返っても怪しい人物はいない】
探偵は同じ道を歩いているとは限らない。
車道を挟んで向かい側の歩道は気づかれにくいのでよく使う。
ビルを挟んで並行する通りを歩いている場合もある。
単独尾行でそんなことをすればたちまち失尾するが、チームで無線連絡しているから大丈夫。
この場合、交差点を渡るたびに写真を撮られることになる。
【早速、正面から撮られていた】
上のような正面から撮った写真が大切だが、この時は撮られたことに全く気付かなかった。
探偵の会話は無線で聞こえているが、全部意味がわかるわけではない。
「尾行対象者」「愛人(と思われる異性)」「相手と合流する」「警戒している」といった、尾行調査でよく使う言葉はすべて暗号化されている。
これだとブツブツ言ってるのを万一他人に聞かれても、探偵の尾行とはわからない。
暗号はどれも短い言葉なので、会話を短縮して連絡スピードを上げる効果もあるようだ。
正面からの撮影をスムーズにやるためにもチーム尾行は重要。
チームなら撮影役が先回りし、撮影を終えたら速やかに離脱できるから。
後をつけたり、前方に回ったり、一人でバタバタしていたら、必ず発覚か失尾になる。
だから、安すぎる探偵に頼むと後ろ姿ばかりの報告書になる。
仮に顔が正面から鮮明に写った写真が1枚もない場合、第三者には本人と確認できない。
よってその報告書は、裁判になった場合の証拠能力はない。
パートナーにも「似ているが自分ではない別人」と強弁されて、浮気を認めさせる役にすら立たないだろう。
まさに調査費用をドブに捨てるようなものである。
【物陰から監視・撮影する探偵】
今回は、このサイトで紹介する目的なので、尾行する探偵自身の姿も時々撮っておいてほしいと、事前にリクエストしておいた。
【特に怪しく見えないが、実は尾行中の探偵】
これも探偵による探偵の撮影で、私の視界にいたのかもしれないが、見た記憶すらない。
W氏によると、3人の探偵のうちの1人は車を移動させているらしい。
3人のチームで徒歩尾行を行う場合、2人が歩きで1人は車というのが標準的なフォーメーション。
車の係りは無線を聞きながら、対象から見えない場所で、対象の動きに合わせて車を移動させていく。
徒歩尾行であっても車を用意しないのは危険。
タクシーに乗られただけで失尾、調査終了となってしまう。
愛人が車で迎えに来ることもよくあるので、やはり車を用意しないのは失敗のリスクが高すぎる。
当社の場合、車両代を別途請求しないので、車やバイクを使っても使わなくても料金に変わりはない。
投入機材の選定は、経験豊かな我々の調査計画担当に任せてほしい。
さて、対象の移動手段が徒歩と電車・バスなどがメインか車がメインか、調査の場所や時間帯、対象の警戒度などに応じて、さまざまなフォーメーションが組まれる。
例えば4人チームの場合、完全に徒歩メインと予測されれば、歩き3名+車1台。
歩きとタクシー利用があれば、歩き2人+車2人。
車の比率も結構あり、小回りが利くようにしておいた方がいいなら歩き2名+車+バイクなど。
初日は依頼者の話から判断してフォーメーションを組み、日を重ねて相手の動き方がわかってくるにつれ、フォーメーションもどんどん変えていく。
チームメンバーの動きを文章だけで理解するのは難しいかもしれません。
基本の動きを図解したページがあるので、必要に応じて読んでみてください。
尾行の話がより理解でき、いっそう面白く読めると思います。
【また正面から撮られていた!】
真ん中がアシスタントの女性。実際の浮気調査だとこんな感じのカップルの正面写真がたくさん撮られる。
「ガチの尾行をするので、自由に動いてみてほしい」と最初に言われていた。
今、こうやって記事を書いていると、新宿駅まで歩かずにタクシーを使えばよかったなと思う。
そうすればタクシーを使われた場合の対応ぶりについても記事が書けた。
だが、晴天の初夏は暑すぎずに爽やかで、その時はそんなことを思いつかなかった。
尾行に車を用意していないと、タクシーに乗られたり、浮気相手が車で迎えにきていた時点でほぼ失尾する。
テレビドラマのようにタクシーで追うことがあるのか聞いてみた。
私はあれは昭和の刑事or探偵ドラマの中だけの話で、現代では危険があるという理由で拒否される場合があるのではないかと考えていた。
タクシーに頼るような計画を立てることはない。
対象が乗った直後に別のタクシーがつかまる可能性などほぼゼロに近いから。
しかし、自社の調査車両が遅れたなどの理由で使えない時、非常手段として試みはする。
そして運よくタクシーがつかまった場合、追跡をお願いする。
運転手は喜んで応じる。
注意すべきは、同行の友達を追っているのではないということを、さりげなくわからせること。
でないと、対象のタクシーの真後ろにつけたり、同じタクシー会社なら直接連絡を取られて発覚してしまう。
お願いの仕方は、丁寧だがどこか毅然とした言葉遣いで。
警察を詐称したりは決してしないが、態度と耳の無線イヤホンを見て、「警察関係?」とか思うのは相手の自由。
ちゃんと追ってくれたら、タクシー料金に加えて謝礼を出す。
この話は運転手の間に広まっていて、みんな「あの車を追ってください」と言われるのを楽しみにしている。
タクシーの運転手にとって思わぬお小遣いが入る機会など、滅多にあるものではない。
彼らがが喜んで協力してくれるのはこういうワケ。
【まもなくJR新宿駅】
徒歩尾行が難しい環境は、非常に混雑している場合と逆に人通りがほとんどない状態。
前者は失尾の危険が大きく、後者は発覚の危険が大きい。
適度に人通りのある朝の新宿の街中は一番簡単な状況。
時々無線が聞こえてくるが、探偵たちは容易に尾行できている様子。
探偵A氏によると、人通りは多くはないので、距離を取ってついてきているらしい。
【デジタル業務無線】
ちなみに原一探偵事務所の場合、メインの通信手段はデジタル業務無線。
警察と同レベルの機材である。
スマホのようにキャリアの圏外、電波障害に影響されずに1対多の交信を安定して行える。
1台10万円以上する高価な機材だが、尾行チームの探偵一人に1台と車1台に1台ずつ配備しているとのこと。
無線は同時に複数名が話すと混線するので、ルールが必要。
これを「無線の組織化」という。
基本はチームリーダーが優先だが、対象のそばを尾行している者がいる場合は一番近い人が優先。
【駅のエスカレーターが近づく】
上の写真は対象が映っている部分をトリミングして拡大していますが、元の写真はかなり遠くから撮っている。
混雑していないし、スーツケースを引いていて歩くスピードも遅いので、失尾の心配はなく、近寄る必要がない。
エスカレーターが近づいてるが、ここで探偵W氏がエスカレーターや階段に関する注意点を教えてくれた。
対象が警戒している場合、エスカレーターや階段を昇り切ったところ、降りきったところで振り返ることが非常に多い。
見られてもその場ではバレないかもしれないが、意識してみた人間は記憶に残る。
もう一度別の場所で見られたら、バレるか、少なくとも「さっき、見たような気が?」と思う。
一度意識して見られるとそこから先の追尾行動が大きく制約されるということ。
だから警戒行動がみられる対象がエスカレーターや階段を使っている時は、同じように乗ることはしない。
【JR新宿駅に到着】