【聞き込み調査|プロ探偵の調査技術】

技術がないと不毛でリスキーな調査

大手有名探偵社への訪問取材を繰り返す中で教えてもらった調査技術のエッセンスを紹介するコーナーです。

 

今回は聞き込み調査に関する話です。

 

情報をもっていそうな人に話を聞くという調査方法ですが、これが尾行や張り込みとは違う種類の難しさを孕んでいます。

 

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聞き込みが用いられる調査

聞き込みが用いられる調査の代表は、結婚調査、失踪人捜索、採用前調査などです。

 

結婚調査

結婚の前に、結婚相手当人や実家の家族に結婚に同意しかねるような大きな問題がないか調べる調査です。

 

例えば、結婚相手当人については、実は仕事をしていないのではないかとか、既婚者ではないかといった問題など。

 

調査手法は行動調査(尾行&撮影)が基本になりますが、聞き込みが併用される場合もあります。

 

その中で「酒を飲むと人が変わる」とか、「裏社会の人間のような人と交流がある」という話が出てくれば、さらに調べないと結婚に進むのは危険です。

 

実家の家族について調べる場合は、手法は聞き込みがメインになります。

 

「子供が小さい頃は悪名高いモンスターペアレントだった」「騒音やゴミ出しで近所と揉めてばかりいるトラブルメーカー」「兄はヤクザ」というような情報が出てきたら大問題です。

 

 

失踪人捜索

ここでいう失踪人は、もといた場所とは違う土地で家族や友人に知られずに別の人生を送っている人の事を指します。

 

いなくなって長いが、自殺や事件ではなさそうだし、多分どこかで生きているというような人です。

 

こういう人の探し方は、一時の感情で突発的に家出した人や、自殺するつもりで家出した人の探し方とは違います。

 

突発的な家出人は、そういう人が良く行く場所、例えば都会のネットカフェなどを手分けしてしらみつぶしに探します。(「ローラー調査」を参照)

 

自殺志願の人の場合も、典型的な行先があるので、そこを探します。(「自殺志願者の捜索」を参照)

 

しかし、失踪人は居場所の見当がつかないので、聞き込みを重ねながら徐々に捜索範囲を絞り込んでいきます。

 

遺産分割を進めるために、行方不明の相続人の一人を探す場合も、やり方は失踪人探しと同様になります。

 

 

採用前調査

昭和の時代までは興信所(=探偵社)を使って、内定者に調査をかけることがごく普通に行われていました。

 

内定者全員ではないですが、気になる点がある人や昔は少なかった中途採用者は、念のために調べたものです。

 

手法は聞き込みがメインでした。

 

昨今は情報も取りにくくなっているので、依頼は少ないですが、腕のいい探偵がいるなら、重要なポストの中途採用者は調査をかける価値があります。

 

危険な素顔を持つ人物をそんなポストにつけてしまったら、起きうる損失は計り知れないものになります。

 

現代の探偵社・興信所の主な顧客は個人ですが、なかには企業が依頼者の仕事もあります。

 

採用前調査はそんな企業調査のひとつです。

 

 

聞き込み発覚のリスク

聞き込み調査をしていることがターゲットにバレると、大きな問題になる場合があります。

 

その最たるものが結婚調査です。

 

知られたくない事がある場合はもちろん、一点の曇りもない立派な人物とご家族でも、身元調査を激しく嫌う人がいます。

 

労働意欲のないギャンブル狂やDV男と結婚してしまったり、結婚詐欺師に騙されたりするのを防ぐために、不審に思うことがあるなら調べた方がいい。

 

このサイトの管理者の私はそう思いますが、「相手に黙ってこそこそ調べるような卑怯なことは許せない」と考える人もいるのです。

 

そういう人の頭の中ではだいたい「結婚調査=部落差別&民族差別」という等式が出来上がっています。

 

現在はそういうことは調べてはいけないことになっているのですが。

 

いずれにせよ、結婚調査が発覚すると相手とその親族を激怒させる危険があり、最悪は破談です。

 

失踪人調査の場合は、発覚すると発見する前に別の場所に逃げられてしまう危険があります。

 

採用前調査の場合は、発覚しても比較的相手の理解も得やすいです。

 

しかし、「結婚調査=部落差別&民族差別」と信じている人なら、内定を辞退してくる可能性もあります。

 

発覚は防げるか?

しかし、発覚は防げるのでしょうか?

 

「ある方のご依頼でAさんについて調べている探偵ですが、Aさんについて教えていただけませんか?」

 

そんなダイレクトな聞き方をしていたら、必然的に相手に伝わるリスクを冒すのではないでしょうか?

 

重要な情報を得るためには、ターゲットをよく知っている人に聞き込む必要がありますが、そうすれば高確率で今もターゲットとつながっている人と当たります。

 

すると次のように言われて発覚してしまいます。

 

「この間、探偵みたいな人があなたのことを聞きにきたよ。『いい人ですよ』って答えておいたけど。」

 

尾行の発覚は技術で防げます。

 

しかし、ダイレクトな聞き込みがかなりの確率で発覚することを技術的に防ぐことはできないのではないでしょうか?

 

ダイレクトな聞き込み方法の問題はそれだけではありません。

 

そもそもロクな情報が取れない場合が多いのです。

 

聞き込み調査−警察と探偵の違い

聞き込みというと、刑事ドラマで刑事が警察手帳を見せて「〇〇署の者ですが、Aさんのことで少しお話を伺いたい」とやる様子を思い浮かべる人が多いと思います。

 

しかし、あれは警察だからできるのであって、探偵が同じことをしてもうまく行きません。

 

警察は捜査権に基づいて捜査しており、重要事実を知っているのに隠匿すれば、自分が疑われたり、参考人として呼ばれかねない怖さがあります。

 

しかし、探偵には捜査権のような特権はなく、権利は一般人と完全に同じです。

 

だから探偵の聞き込みを拒否しても、それ以上踏み込んだ調査をされる心配はなく、答えたくない人はあっさり拒否します。

 

また、警察の捜査の目的は犯罪の解明など、社会正義の実現であると信用できます。

 

これに対し、民間人の聞き込みはいくつもの疑念が伴います。

 

  • ヤクザが敵・裏切者などを探しているのではないのか?
  • 借金取りの債務者探しではないのか?
  • 誰かが誰かを陥れるために好都合な情報を探っているのではないのか?

 

探偵というのは、ただでさえ怪しいと思われがちな存在です。

 

聞き込みに協力したために相手が大変な目に遭うのかもしれないと思えば、人は発言を控えます。

 

そして、最後に自分の言ったことが相手に伝わった場合のリスク。

 

警察なら捜査上の秘密が伝わることはないだろうと思えるし、万が一伝わって自分に被害が及んだ場合は保護してもらえると期待できます。

 

しかし、探偵の聞き込みだと秘密を保持する責任感があるかどうかわからないし、相手の仕返しに対する防衛力は期待できません。

 

となると、当たり障りのない回答をしておくか、もしくは回答拒否という対応になりがちです。

 

雑な聞き込みの弊害

過度に安い結婚調査(20〜30万円レベル)を頼むと、ダイレクトな聞き込みを非常に雑にやられる場合があります。

 

近隣の家の電話番号リストなどを使って片っ端からダイレクトな聞き込みをかけた結果を渡されます。

 

結果はほとんど「特に問題ない」「よく知らない」「回答拒否」などのオンパレードで、情報価値がありません。

 

その一方で、非常に雑に発覚⇒破談のリスクを冒されてしまうのです。

 

こんな結婚調査なら最初からやめておいた方がマシです。

 

調査をする限りは、少なくとも発覚は破談のリスクがあることを理解し、発覚を避けるために全力を尽くす責任感のある探偵社を選ばねばなりません。

 

原一探偵事務所の場合

業界大手の原一探偵事務所の場合、特殊調査部という聞き込み調査専門部隊があります。

 

2018年2月16日、特殊調査部のベテラン探偵2人を取材することができました。

 

この部署はメディアに接触を許すこと自体が初めてだったそうです。

 

インタビューの詳細は別のサイトの収録しているので、ここでは手短に編集して掲載します。(2人の発言も区別せず、一人の探偵の会話として書いています。)

 

原一・特殊調査部の探偵S氏(左)とM氏

【原一・特殊調査部の探偵S氏(左)とM氏】

 

私: 先ほど、貴社では「聞き込みと分からない聞き込み方」をしていると聞いた。

 

具体的にどういうやり方か?

 

探偵: 簡単に言えば、雑談に偽装して情報を集めるということ。

 

話の8割は関係のない話で、その中で誘い水を撒き、相手が情報を話したがれば拾う。

 

後から思い返しても、相手は話の2割が接触の目的だったとは気づかない。

 

私: 架空の人物になりすますのか?

 

探偵: そんなことはしないし、ニセの名刺なども作らない。

 

中途半端に具体的なプロフィールを設定すると、突っ込まれて怪しまれるもと。

 

ただの通行人、盆踊りの参加者、居酒屋の一見客などとして接し、自分の具体的な情報は何も与えず、相手にばかり話させる。

 

そのかわり、相手が想像力を膨らませてこちらの人物像について思い込みをすることは、肯定も否定もしない。

 

私: 結構な手法だが、現実にできるとは思えない。

 

探偵: まず、初対面の人に信用されて話を引き出せる資質が必要。当社の中でも人数は限られている。

 

聞き込み専門部隊を作っているのはそのため。

 

特別な資質のある者が、浮気調査などはせず、聞き込み調査に専念してさらにスキルを磨くことで可能になる。

 

私: その資質というのは、いかにも善人そうで誰からも好かれるような「いい人キャラ」ということか?

 

探偵: それもひとつ。

 

しかし、常に同情を集めて助けてもらえる「可哀そうキャラ」、頼りになりそうなので話してもらえる「頼もしキャラ」もある。

 

自分に合ったキャラで、初対面の人からどんどん話を引き出せるなら、それが資質ということだ。

 

私: しかし、いかにキャラとスキルが優れていても、突破するのが難しい相手もいると思うが。

 

探偵: 警戒心の強い相手や理詰めな人を突破する必要はなく、むしろそういう人だと判断したら、早めに話を切り上げて接触を避ける。

 

情報を持って話したがっている人を早く見つけるのも重要なスキル。

 

私: 雑談に偽装してもあちこちで聞きまわっていると「え?、私もそんな人に会ったよ。同一人物では?」と発覚することもあるのでは?

 

探偵: 聞き込みは複数の探偵で手分けして行うことで発覚を防ぐ。チーム尾行と同じ原理。

 

それぞれが採集してきたピースを持ち寄って、ジグソーパズルを仕上げていく。

 

最初は手探りだが、だんだん接触すべき人物、接触を避けるべき人物がわかってくる。

 

前者とは計画的に接触し、後者とは計画的に接触を避け、手分けして情報の収集を続ければ、ついにパズルが完成してどういう絵だったのかわかる。

 

私: 初対面の相手を信用させるテクニックもあるのか?

 

探偵: たくさんある。が、具体的なやり方は教えられない。

 

技術の漏洩を恐れるのではなく、詐欺への悪用を恐れるため。

 

ひとつだけ、やや抽象的な言い方で教えると「人は同じ趣味を持つ人に親近感を持つ」というのがある。

 

その際、同じ趣味を持つことを、自分からアピールするのではなく、相手が「発見」するように持っていくことだ。

 

他の大手探偵社が聞き込み調査でどんな手法を取っているのかは、まだ取材できていません。

 

また違う手法で上手にやる探偵社もおそらくあるでしょう。

 

しかし、責任を持って発覚防止の手立てをとること、お金を払う価値のある情報を集めること、この2点だけは十分確認してから依頼すべきだと思います。

 

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