【こんなにおもしろい調査業の仕事|探偵文庫】

第12代警察庁長官推薦の本

探偵自身が書いた本や探偵のノンフィクションを紹介していくコーナーです。

 

本を通じて、この謎めいた探偵業界の実態を探ります。

 

今回、ご紹介するのは下記の本。

 

「こんなにおもしろい調査業の仕事」 金澤秀則 著 中央経済社 刊 1,800円(税別)

 

(株)児玉総合情報事務所は終戦間もない頃に故・児玉道尚氏が創設した老舗探偵社。

 

その薫陶を受けて2代目代表になった人の業界案内本です。

 

巻頭には元警察庁長官と元公安委員長、それにメジャーな調査業団体の会長らが異例の推薦文を寄せる重鎮ぶり。

 

探偵も警察OBが多い事務所だそうです。

 

内容面ではさまざまな依頼のケーススタディが載っていて、調査のプロセスが詳述されている点が異色です。

 

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序章 調査会社(探偵社・興信所)の世界

この人の定義では、探偵社は秘密裏の調査が可能で届出が必要、興信所は公開情報だけを使用して調査するもので届け出が不要ということです。

 

その仕事は、素行調査、信用調査、結婚に関する調査、身辺調査、居所調査、事件調査、民事裁判に資する証拠資料の調査などです。

 

  • 安心できる探偵社の選び方
  • 上手な依頼のコツ
  • 平成28年2月現在の料金目安
  • トラブルを避けるノウハウ
  • 探偵社の雰囲気・調査員の心構えを見るポイント

 

などが収録されています。

 

第1章 探偵とはどんな仕事をするのか

日本の警察は刑事警察であって民事不介入が原則。

 

民事のトラブル解決で頼りになるのが探偵と弁護士である。

 

探偵の調査は秘密裏に行うのが特徴で、目立つことや自慢はご法度である。

 

探偵の調査は探偵業法の規制を受けている。

 

この法律の成立背景には、探偵と依頼者、および探偵と調査対象者間のトラブル増加がある。

 

第2章 調査会社の調査手法

 

1)事前調査

 

資料収集

行動調査の場合なら住宅地図の入手など。

 

現地確認

対象者の自宅や勤務先、予想される立ち回り先などの下見。

 

確認のポイントは、建物の構造、駐車場の位置、交通手段、通信手段、金融機関・官公庁・病院の位置、地域性や行事、地域環境(住宅街・国道沿い・農地等)、工事の有無など。

 

現地の地理・地形をしっかり頭に入れ、張り込み場所を選定し、駅の入り口の数やトイレの場所なども把握する。

 

調査対象者の確認

事前に顔確認する場合も。

 

本番の調査が退社後であれば、朝の出勤時に写真撮影して、服装・携行品・歩行の癖・出勤経路などを押さえておく。

 

2)張り込み

屋外での「外張り」、建物内や車内での「内張り」、状況に応じて場所を変える「流し張り」がある。

 

場所になじむ服装をし、付近の住民や建物の従業員に不信感を持たれないようにすることが大切。

 

場合によっては事前に挨拶しておくことも。

 

3)尾行

調査の極意は「尾行に始まり、尾行に終わる」。

 

単独尾行とチーム尾行がある。

 

尾行しながら、時間や立ち寄り先のメモを取り、撮影し、すべてを記録していかねばならない。

 

地味な色の服装で、携行品は少なく、両手を空けておくこと。

 

途中服を着替えて印象を変えることも大切。

 

4)聞き込み

調査が対象者や第三者にバレないようにする必要があるので難しい。

 

いきなり無作為に聞きこむことはなく、下見から始めて計画的に行う。

 

聞き込みで得た情報の裏付けを取ることも大切。

 

ある探偵の1日

1日の業務を例示することで探偵の仕事の実態を生き生きと伝えている。

 

08:30 出社。昨日の尾行調査の報告書作成。

 

10:30 娘の交際相手の行動調査の相談と受任。

 

11:45 昼食。

 

13:30 損害賠償事件の訴訟相手の所在調査に関して弁護士と打ち合わせ。

 

14:40 本日夕刻から実施予定の企業秘密漏洩関連の行動調査についてチームメイトと打ち合わせ。

 

16:00 事前調査実施。

 

17:00 張り込み開始。

 

18:13 尾行開始 対象者が誰かと会食して資料を受け渡すのを確認。

 

21:07 面会相手の自宅確認

 

翌日の調査で勤務先や氏名も判明。

 

後日、報告書作成。

 

******

 

探偵や指導探偵の週間スケジュール予定例なども収録。

 

第3章 「密かに」は探偵業の生命線

調査が発覚すると、その後の調査が難しくなるだけでなく、探偵の行動が様々な法律に抵触する可能性が出てくる。

 

例えば対象者に発覚した場合、「人の生活の平穏を害する等」探偵業法6条を犯したと言われる可能性がある。

 

公共の場での尾行・張り込みは許容範囲内と考えられているが、ホテルの敷地内で発覚した場合、ホテルの利益を侵害した疑いが出る。

 

だから、とにかく探偵はバレてはダメ。

 

第4章 弁護士・裁判資料としての調査依頼

どんな調査をするのかをケーススタディ形式で紹介。

 

1)売掛金回収に絡む債務者の調査

経営者が住所に住んでいるのか、家族構成はどうか、会社は実在するのかなど、多岐にわたる項目を調査。

 

銀行や周辺住民への聞き込み、当人への取材依頼など、多彩な方法を駆使する。

 

2)原籍地の調査(裁判資料)

自分の戸籍が「間違いによる重複」として消され、父親の名前まで書き換えられた件について、市を相手に訴訟。

 

消された家族が遠い昔に実在した証拠をつかむという珍しい調査。

 

古い地図や墓を探したり、老人に聞き込みを実施したり。

 

第5章 法人からの調査依頼

著者によると依頼は企業からのものが過半数を占めるそうです。その事例が紹介されています。

 

行動調査の中身が時系列で掲載されているので(もちろん秘密保持のために脚色されているが)、調査の実際がよくわかる。

 

1)社内情報の漏洩

ビル・エスカレーターの管理会社で、点検を実施していないのに実施済みの報告がされたことがあった。

 

外部者の柴田という男がこの事実をつかんで会社を訪問し、脅迫めいた発言をした。

 

探偵社は柴田の所在をつかんだ上で行動調査をかけた。

 

柴田が面会していた相手の所在調査をかけると、元社員と判明した。

 

2)企業情報漏洩に関する調査

新卒入社で技術者としてたたき上げ、定年後は顧問を務めていた男が唐突に退職した。

 

大量の情報が電子媒体で持ち出されており、ライバル社への就職の噂もある。

 

行動調査で立ち回り先として浮上した会社の登記を調べると役員になっているのが判明。

 

また、資料を渡した男の氏名と会社名も判明した。

 

3)社員の背信行為確認調査

警備会社からの依頼。

 

職務怠慢な女性社員を解雇したところ、不当解雇として提訴してきた。

 

そして業務課長の携帯置き忘れから、彼が女性に会社の裁判対策を漏洩していることが判明した。

 

行動調査により二人の複数回の接触と男女関係の証拠が取れた。

 

4)架空請求事案に関する調査

電子部品メーカーからの依頼。

 

管理職が受注数を上回る商品を持ち出して、売却して着服している。

 

さらにカラ出張の架空請求の疑いも。

 

会社はまずカラ出張の証拠取りを狙って調査を依頼してきた。

 

行動調査の結果、カラ出張と社内不倫の証拠が取れた。

 

第6章 個人からの調査依頼

 

1)相続人に関する調査

賃借物件の買取を計画したところ、所有者が15年前に死亡していることが判明し、その法定相続人を探す依頼。

 

不動産登記簿の調査、仲介不動産業者への聞き込み、故所有者の生前の居住地付近での聞き込みなどを実施。

 

戸籍関係の閲覧も必要なので、請求権のある弁護士に依頼。

 

2)精神科医の所在調査

うつ病に苦しむ依頼者が40年前に診療を受けた医師の所在調査を依頼してきた案件。

 

以前勤務していた病院への聞き込み、医師会名簿のチェックを経て4名に絞り込み。

 

それぞれに聞き込みをかけて1名に絞り込み。

 

ネット検索、病院(閉院済)の現地調査、法務局調査、所在調査実施。

 

存命だが引退していると判明。

 

3)「想い出の人」探し

69歳の女性が20歳の頃に知り合った男性の近況を知りたいと依頼してきた調査。

 

子供は独立し、夫は癌で5年前に他界し、一人ぐらし。

 

最近、夢に頻繁にその男性が現れるので知って心を落ち着かせたいとのこと。

 

氏名、大学名はわかっており、医学生だったので、医師会名簿などをもとに探索。

 

すでに癌で他界しているとわかったが、それまでの暮らしぶりと併せて報告。

 

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