「データ調査」とは何か?探偵や探偵法、名簿屋との関係は?|プロの調査技術情報

「データ調査」とは何か?探偵や探偵法、名簿屋との関係は?|プロの調査技術情報

各種多角的調査

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大手有名探偵社への訪問取材を繰り返す中で教えてもらった調査技術のエッセンスを紹介するコーナーです。

 

今回は様々な機関が持っている個人データの調査に関する話です。

 

昔は王道だったが現在は違法な戸籍調査から話を始め、合法的で有用な何種類かの調査を紹介します。

 

 

戸籍調査は現在は違法

昭和以前の結婚調査といえば、戸籍謄本のコピーと簡単な聞き込み調査結果というのが定番でした。

 

昔は戸籍情報は公開が原則で、誰でも請求できたのです。

 

しかし、差別の防止や個人情報保護の機運が高まり、平成20年施行の法律改正で戸籍請求は本人確認が必須となりました。

 

今では特別な場合を除いて第三者の戸籍情報入手は違法です。

 

参考サイト: 戸籍のルール変更に関する法務省のサイト

 

第三者の請求が許される特例

Q9 第三者が戸籍謄本を請求することができる場合とは、具体的にはどのような場合をいうのでしょうか。

 

A 自分の権利を行使したり、自分の義務を履行したりするために戸籍の記載事項を確認する必要があるような場合や、国等に提出する必要があるような場合等をいいます。

 

具体的な例としては、「(1)提出先は○○家庭裁判所であり、(2)請求者(甲)は、平成○年○月○日に死亡した弟乙の相続人(兄)であるが、乙の遺産についての遺産分割調停の申立てに際して添付資料として乙が記載されている戸籍謄本を提出する必要がある」というような場合です。

 

(法務省のホームページより転載)

 

違法な戸籍情報入手は今も存在
にもかかわらず、戸籍謄本を違法に入手する探偵社・興信所は今もたくさん存在します。

 

弁護士・司法書士などの8士業は戸籍の請求権を持つため、違法行為を意に介さない士業者と結託すれば入手は簡単なのです。

 

探偵社には、お役所から定期的に「違法な戸籍調査をしないように」という通達が回ってきます。

 

違反が発覚した場合、探偵社はもちろん依頼者も罪に問われる可能性があります。

 

参考サイト: 違法な戸籍情報取得摘発事例「プライム事件」の経緯

 

違法な戸籍調査は割に合うか?
そんなリスクを冒してまで入手するほど、戸籍謄本は情報価値があるのでしょうか?

 

戸籍には前科などの犯罪歴の情報はありません。

 

自己破産などの情報は戸籍に記載されると信じている人もいますが、間違いです。

 

戸籍謄本にあるのは家族関係の情報だけです。

 

例えば、離婚歴があるという場合、それが絶対間違いないかは戸籍謄本を見ないとわかりません。

 

しかし、そんなことは周囲の人の話を聞けばだいたいわかるし、偽装していることも少ないものです。

 

ほとんどの場合、戸籍謄本を見て、それまで得られなかった特に有用な情報が得られることはないです。

 

つまり、リスクばかり大きくて、割に合わない違法行為なので、手をだすべきではありません。

 

他の違法なデータ情報

ついでに言うと、下記のようなデータの入手も違法です。

 

  • 警察や検察が持つ犯罪歴情報
  • 銀行やカード会社が共有する信用情報

 

警察・検察の犯罪歴情報
一般人は、警察・検察の犯罪歴情報の照会が許されていません。

 

参考サイト: 公的機関からの犯罪歴情報入手は一般人には不可能(弁護士サイト)

 

後述するように、一般人に可能な犯罪歴調査方法は、新聞等の報道歴調査、ネット検索、聞き込み等に限られます。

 

金融機関の信用情報
信用情報機関は以下3つが存在しています。

 

JICCは消費者金融が、KSCは銀行が、など、各金融業界で貸し倒れに対する自衛のために作ったものが発展してきました。

 

それぞれ起源が違うために3つあるわけですが、今日では相互に情報共有しています。

 

略称 正式名称 主な加盟会社
JICC 株式会社日本信用情報機構 消費者金融、信販会社、保証会社、リース会社
CIC 株式会社シー・アイ・シー 信販会社、流通系・銀行系・メーカー系クレジット会社、百貨店
KSC 全国銀行個人信用情報センター 銀行、信用組合、信用金庫、保証会社

 

こういう機関に延滞歴・債務整理歴等が記録されて借り入れができなくなるのが、いわゆる「ブラックリストに載る」という状態です。

 

上記の機関に個人が自分自身の登録内容を照会するのは可能ですが、第三者が調べることは違法です。

 

以上2種の情報は戸籍謄本より入手しにくいので、やる探偵社はあまりないですが、依頼者側も求めたりしないように注意しましょう。

 

合法的な各種の多角的調査

戸籍調査のような違法なことをしなくても、合法的な多角的調査でわかることがたくさんあります。

 

それを紹介しましょう。

 

官報調査

官報というのは政府の日刊広報誌です。

 

首相の行動、政府高官の人事異動などが載っていて、最後の方に自己破産や個人再生を申し立てた人が載っています。

 

誰でも買えますが、普通の人には退屈で無味乾燥な内容なので、一生に一度も見たことがない人の方が多いです。

 

参考サイト: 官報販売会社のサイト

 

販売所も1県に1カ所ぐらいしかない政府刊行物販売所で、目立たない店構えです。

 

官報調査は、昔は印刷物のバックナンバーを調べていたわけですが、今日では検索サービスが利用可能です。

 

参考サイト: 国立印刷局の官報検索サービス

 

これを調べれば自己破産や個人再生の経歴の有無が調べられます。

 

官報の破産公告サンプル

【官報の破産公告サンプル】

 

自己破産は財産を全部差し出して返済に充て、残った借金を帳消しにしてもらう手続きです。

 

参考サイト: 自己破産とは?(弁護士サイト)

 

個人再生は借金の8割くらいを帳消しにしてもらって残りを返済していく手続きです。

 

参考サイト: 個人再生とは?(弁護士サイト)

 

どちらも信用に大きな傷がつき、当分は借金ができず、クレジットカードも作れないペナルティを受けます。

 

借金を返せない状態に至ったことがあるかどうかというのは重要な情報です。

 

浪費癖・ギャンブル癖・見栄っ張り・安易に連帯保証人を引き受けてしまう浅はかさといった欠陥が疑われます。

 

もちろん、家族の治療のために借金を重ねたあげく破産に至るようなケースもあるので、一概には言えません。

 

しかし、知る価値のある重要情報ではあります。

 

新聞調査

過去に新聞で報道されたことがあるかどうかを検索するものです。

 

参考サイト: 国立国会図書館・記事検索サービス

 

だから、ニュースになるほど大きな犯罪を犯した経歴がある場合は、違法に警察の犯罪歴データを入手しなくても、これで調べられます。

 

逆に表彰・優勝・入賞の経歴やポジティブな話題で取材を受けた経歴などのプラス情報がつかめることもあります。

 

不動産登記簿調査

家や土地を所有している場合、不動産登記簿を調べれば所有者や土地を担保にした借金の有無がわかります。

 

参考サイト: 不動産登記簿の調べ方(不動産サイト)

 

自分の土地だと言っていたが、実は親の土地を借りているだけなのかもしれません。

 

確かに家持ちだが、住宅ローンがたくさん残っていそうだとわかるかもしれません。

 

住宅ローン以外の抵当権も設定されていて、借金も大きいとわかるかもしれません。

 

また、税務署の差し押さえ記録があった場合は、長期間の税金滞納があったとわかります。

 

不動産登記簿サンプル

【不動産登記簿サンプル】

 

入手はその不動産の所轄の法務局に請求すればいいだけですが、表の見方は少々専門知識が必要です。

 

本を買って自分で勉強してもいいですが、見方がわかる人に説明してもらうのが一番早いでしょう。

 

参考サイト: 不動産登記簿の見方

 

相手が所有する会社の多角的調査

相手が会社を所有している場合は、その会社についても知る方法があります。

 

商業登記簿調査
商業登記簿調査を調べれば基本情報がわかります。

 

設立日時、資本金、役員構成、事業の目的など。

 

参考サイト: 商業登記簿の調べ方

 

企業信用情報調査
ある程度大きい会社なら企業信用情報サービスに頼めば経営状況の情報を得られます。

 

決算書を見れば、資産・負債と売上・利益の状況がわかります。

 

企業信用情報サービスは、1位の帝国データバンクと2位の東京商工リサーチの2社でシェアのほとんどを占める寡占業界です。

 

このどちらかに頼めば、登録されている企業であれば、有料で信用情報を提供してもらえます。

 

ただし、特定の業界については小規模の専門信用会社の方が情報を持っている場合もあります。

 

参考サイト: 企業信用調査会社25選

原一探偵事務所の多角的調査

業界大手の原一探偵事務所に結婚調査を頼むと下記の多角的調査が標準でついてくるそうです。

 

  • 官報調査
  • 新聞調査
  • 不動産登記簿調査

 

そのほかに商業登記簿の調査や企業信用情報なども、必要であればオプションでやってくれるそうです。

 

結婚調査以外の素行調査、身元調査などでも必要な多角的調査があれば、オプションでつけてくれるはずです。

 

全部自分でやった方が安上がりですが、入手したデータの見方がよくわかっていない場合は大変です。

 

原一さんはデータの見方をすべて詳しく説明してくれます。

 

なお、戸籍謄本入手などの違法調査は依頼されても絶対にしないとのことです。