兄弟の一人が親の遺産を独り占めして相続争いになることがあります。
親の死後の紛争対策については、多くの弁護士が書いています。
しかし、親の存命中の工作に対抗する措置については情報が少ないです。
探偵の調査が役に立つ場合を紹介します。
存命中の親に対する遺産独占工作としてどんなやり口があるのか、ご紹介します。
工作内容
介護などを名目に老親を自分の別邸や医療介護施設に囲いこみます。
他の兄弟には場所を教えず、会わせません。
そして「他の兄弟は親の老後生活に無関心で、自分だけが心配している。」といった嘘を吹き込みます。
そして親の孤立感を煽り、自分への依存度を高め、自分に著しく有利な遺言書を書くように仕向けます。
対抗策
まず親が囲い込まれている場所を特定することです。
ここでは人探しのプロである探偵が役に立ちます。
その上で依頼者が親と会って忌憚なく話せるようにセッティングします。
ただ、これは家出人捜索とは違って敵がおり、感づかれると隔離を強化されて目的を果たせなくなります。
また、企業のオーナーなどのケースが多く、背後に反社が入り込んでいる場合もあり、危険を伴います。
どこの探偵社でもできる仕事ではありません。
工作内容
兄弟の中で自分の家庭だけが特別に困窮していると親に信じ込ませます。
頻繁な経済的援助や子供(親にとっては孫)への生前贈与などを引き出します。
他の兄弟は自分の苦境を理解せず、不公平と訴えてくると予想されるので、この件は伏せておくように親に頼みます。
最後は自分に著しく有利な遺言書を書くように仕向けます。
他の兄妹がこの工作を把握して親に訴えても、親はしばしば妄信しており、他の子の言葉を聞き入れません。
対抗策
困窮が嘘でも、引き出したお金を貯めこんでいる場合は、第三者が実態を把握するのは困難です。
しかし、こういうケースでは工作者は往々にして我慢できず、贅沢に浪費してしまいます。
探偵の素行調査で工作者の生活実態を調査します。
それが本来の収入ではありえない贅沢なものである証拠を取れれば、それで親の目を覚ますことができます。
同居する親が認知症を発症している場合に見られる手口です。
無断で、もしくはうまく言いくるめて預金を引き出し、自分の隠し口座に移転していきます。
対抗策
親が明確に認知症と診断されている場合は、相続に詳しい弁護士に相談するとよいでしょう。
相続するはずの財産を侵害されている疑いがあるとして、調査をかけることができるはずです。
預金の入出金記録などを請求して分析します。
認知症が軽度、または未診断の場合で、親が工作者を妄信して協力を拒否する場合は難しいかもしれません。
その場合、先ほどと同様に素行調査で生活実態を調べる方法があります。
大きな臨時収入があれば、人は我慢できずに浪費するものです。
何と言っても長男です。
戦前は長男がすべて相続する家督相続の考え方がありました。
戦後80年を経た今も地方を中心にそれを受け継いでいる人たちがいます。
長子が女性の場合は長女も多いです。
古い土地ほど長男・長女が老親を引き取って面倒を見るのが当然という価値観が根強いです。
これが「ならばその対価を受取るのは当然」という考え方につながっていきます。
しかし、長子が地元を離れて自由に生きてきて、次男次女以下が親の面倒を見てきたようなケースもあります。
そういう家庭では、下の子にこの種の動きが見られます。