オープンマリッジとは、夫婦関係を維持したまま、配偶者以外との恋愛や性的な関係を夫婦双方の合意のもとで認めるという考え方です。
「浮気を公認する結婚」と表現されることもありますが、当事者の間では
「嘘をつかない関係」
「正直さを重視した関係」
と説明されることが多いようです。
もともとは性革命の時代である1970年代にアメリカの社会学者オニール夫妻が提唱した概念で、最近の造語ではないです。
参考:オニール夫妻提唱のオープンマリッジ(Wikipedia)
近年、芸能人や有名人がこの言葉を使ったことで、オープンマリッジという概念が一気に知られるようになりました。
例えば交際0日婚ののち、わずか7ヵ月で離婚したYouTuberのヒカルなどです。
また、価値観の多様化や「結婚の形は一つではない」という考え方が広がったことも、注目される背景の一つだと考えられます。
日本の法律では、婚姻関係は基本的に「配偶者同士の排他的な関係」を前提としています。
そのため、夫婦間で合意があったとしても、配偶者以外との性的関係があれば、不貞行為と評価される可能性は残ります。
刑法の犯罪ではないので逮捕されるようなことはなく、他方の配偶者が慰謝料請求や離婚裁判を提訴した場合の話です。
「合意していたはず」でも、問題の性格上、「そうではなかった」としてくる可能性はあります。
オープンマリッジに関する合意書を作成するケースもありますが、それだけで法的なトラブルを完全に防げるわけではありません。
合意が自由意思によるものだったか、内容が公序良俗に反しないかなど、後から争いになることもあります。
頭では「合意しているから大丈夫」と理解していても、感情は必ずしも理屈どおりに動きません。
実際には、想像以上の嫉妬や不安に直面する人もいます。
それどころか、「気持ち悪い」と全面拒否する人も多いようです。
オープンマリッジを提案した側と、受け入れた側では、最初から温度差がある場合もあります。
このズレが少しずつ広がり、「本当は納得していなかった」という不満が後から噴き出すこともあります。
実践している人たちの話では、次のようなルールが語られることがあります。
ただし、ルールを決めたからといって問題が起きないわけではありません。
「どこまでがOKなのか」という解釈の違いや、感情の変化によって、約束が守れなくなることもあります。
子どもがいる家庭では、「家族の形」をどう説明するかという問題が生じます。
親としては問題がないと思っていても、子ども自身が戸惑うケースも考えられます。
また、学校や友人関係、進学や就職、将来の結婚など、人生の節目で家庭環境を説明しなければならない場面が出てくる可能性もあります。
こうした「説明の負担」は、見落とされがちなポイントです。
海外では、実践している有名人の例もあります。
宗教や文化的背景により、複数のパートナーとの関係が社会的に容認されている地域も存在します。
たとえば、俳優のウィル・スミスとジェイダ・ピンケット・スミス夫妻は、結婚生活の中で「従来の一夫一婦的な関係に縛られない形」を模索してきたことを、本人たちのインタビューや番組内で語っています。
この関係性については賛否両論ありましたが、「夫婦間で率直に話し合っている」という点が注目されました。
このように、海外では有名人が自らの関係性について語ること自体が、日本よりも比較的受け入れられやすい土壌があります。
※もっとも、これらはあくまで個人の選択であり、誰にでも当てはまる成功例とされているわけではありません。
中東やアフリカの一部地域では、宗教的・文化的背景から、一夫多妻制が法的に認められている国があります。
これはオープンマリッジとは性質が異なりますが、「配偶者が複数存在する関係」が社会制度として組み込まれている例です。
ただし、これらの国でも、経済的条件や公平性など、厳しい要件が課されていることが一般的です。
アメリカやカナダ、ヨーロッパの一部では、ポリアモリー(複数の人と合意の上で関係を築く考え方)という価値観が、特定のコミュニティや都市部を中心に知られています。
大学研究やメディアの調査では、こうした関係性が「少数派ではあるが、一定数存在する」と報告されています。
ただし、多くの国で法律上の婚姻制度は一夫一婦制のままであり、社会全体に広く浸透しているわけではありません。
ただし、日本とは法制度や社会の価値観が大きく異なります。
これらの例に共通するのは、
という点です。
そのため、「海外では認められているから日本でもうまくいくはず」と考えるのは、やや単純化しすぎだと言えるでしょう。
後になって「そこまでは聞いていなかった」「想像と違った」というズレが生じることもあります。
言葉だけが先行し、細かな前提が共有されていないケースも見受けられます。
場合によっては、関係を正当化するためのラベルとして使われてしまうこともあります。
その点には慎重になる必要があるでしょう。
オープンマリッジを断ることは、相手を愛していないという意味ではありません。
自分が受け入れられない関係を無理に続ける必要はないのです。
こうした点は、感情的になる前に整理しておくことが重要です。
オープンマリッジは、理念として語られることも多い一方で、日本の法律や社会の中では問題が起きやすい構造も持っています。
もし自分の身に起きたとしたら、心から納得できる選択でしょうか。
合意があったとしても、後から後悔しないかどうか、一度立ち止まって考えてみる価値はあります。
最終更新日:2026/2/2
更新責任者:徳野 制
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