浮気や離婚の関連書籍の要約を紹介するコーナーです。
今回の本は下記。
「なぜ男は妻よりも美しくない女性と浮気をするのか?」
弁護士・中里妃沙子 著 宝島新書 743円(税別)
著者の中里氏は、離婚相談が専門の弁護士で、仕事を通じて得られた知見をまとめた本です。
離婚に直面した時、問題は本質的には3種類しかない。
もう少し細かく見ても、問題は8種類である。
離婚の同意の有無 | 同意を得るための対策。同意がなくても「離婚原因」があれば、離婚できる。 |
---|---|
子供に関すること |
|
お金に関すること |
|
実際に離婚相談に乗る中で、よくみられるパターンをまとめています。
世代ごとに離婚原因の大きい傾向が分かれるが、最近の若い人に多いのがこれ。
極端な例では、付き合っていた時期、結婚後も含めて1度も性行為がないケースも。
夫が隠れゲイというのは多分昔からあることなのだろうが、最近の世間の動向はカミングアウトを許すようになってきた。
昔も夫が親権を頑強に主張することはあったが、それは跡取りを考えてのことが多かった。
最近はそれとは違う、本当の愛情が動機の男性が増えている。
実際に世話をしてきた経験から、幼い子を引き取って男手で育てることにも自信を持っている。
奥さんは本音ではさほど子供に執着がないが、親権を交渉に利用してイクメン夫から有利な条件を引き出す例が見られる。
小さなわがままを許し続けることが妻をモンスターにしてしまい、離婚の原因になることも。
モンスターになるまで10年はかかるので30代が多い。成人男性とは思えないほど、夫が怯えている例も。
40代では人生を見直して、本当の自分を生きなおしたいというのが離婚の動機になりやすい。
男性は新しいパートナーとの再婚が多いが、女性は自立がテーマで目的は趣味や仕事も多く、必ずしも異性を必要としない。
50代後半から60代の離婚相談はほとんど女性から。
長年がまんしてきたが、もう何でもいいから別れたいというのが目立つ。
出世するほどにストレスが溜まって、妻に対して横暴になり、ついに愛想を尽かされるパターン。
高学歴・高収入で、外に出ると強いストレスを受ける夫に多い。
銀行マンは離婚したままだと今でも出世に響く。
そのため再婚相手紹介のネットワークがあり、女性の人気もある。
男の浮気相手は決まって妻よりブサイク。男からの需要が低いため、落ちやすく、尽くしてもくれるから、気が休まるのだろう。
しかし、浮気は浮気で終わる。少数だが本気になるケースでは、女は決まって美しい。
最近のアラフォーは専業主婦でもキレイな人が多く、そして出会いの機会はいくらでもある。
浮気をするから魅力的になるというのは女にはあてはまらない。女の離婚動機は異性以外の事も多い。
外国人の伴侶が放射能を恐れて日本を離れたがることで離婚に至ったケースがかなりある。
自立できない子供同士の結婚では、双方のママ同士が対決して離婚に至ることもある。
夫が風呂に入っている隙にスマホのメール転送設定を行ってデートの予定を探知。
息子用のGPSを夫のカバンに忍ばせて場所を知り、自分で撮影までしてきた人がいた。
晩婚化が進んでいるが、アラサーの女性にはやはり焦りがある。
離婚のお金がらみの話題を集めています。
財産分与には3種類ある。
離婚を突き付けた夫も、基本的に半々の財産分与が必要な事を知ると矛を収めることが多い。
離婚を考えている妻に自営業の夫の資産リストアップを指導した話。
夫のパソコンのパスワード管理が甘かったので、くまなくリストアップに成功。
資産を分散させているので、この作業がなければ、半分も請求できなかった。
同居しながらこうした離婚準備をする妻に注意!
離婚で揉めるのは子供の事を除けば、結局は金。
離婚して別の女性と結婚したい若社長の依頼。
妻は強く拒否したが、社長が家も車も渡すし、養育費も払うという条件を出すとあっさりOK。
慰謝料とは、誰かの不法行為で被った損害のうち、精神的な部分を補償するもの。
離婚の場合は下記の2種類。
慰謝料の相場は150~200万円、熟年離婚の場合でも300万円程度。
ただし、これは裁判官が決定するもので、そこに至る前に協議で決める場合、金額は自由。
ちなみに芸能人の離婚慰謝料が何千万とか億単位なのは、財産分与も含めてのこと。
相手の女性が妊娠したので離婚を願い出た夫。
今、離婚してほしいのは夫側であり、早くしないと子供は私生児として生まれることになる。
今は妻が一番強いタイミングなので、それを生かして好条件を勝ち取るよう指導した事例を紹介。
離婚で慰謝料が発生するのは、不貞行為、暴力、度を越えたギャンブルや飲酒などで、しかも証拠が求められる。
性格の不一致や宗教の違いなどでは慰謝料は認定されない。
わがままで法外な慰謝料を一方的に要求するモンスター妻がいるが、その主張は通らない。
明らかに自分で作った不自然な痣を根拠に、慰謝料2000万円を取ってくれというモン妻がいた。
浮気された妻は夫とその浮気相手に慰謝料を請求しようとした。
しかし、浮気相手は、結婚の相談までしていたのに既婚ということを知らされていなかった。
そこで結婚詐欺に遭ったとして、慰謝料を請求することにした。
結局、この夫は妻と浮気相手の双方に慰謝料を支払うことになった。
離婚原因が相手にないなら、慰謝料は請求できない。
その場合もらえるお金は、同居中に増えた財産の半分(財産分与)と別居して離婚するまでの生活費(婚姻費用)。
婚姻費用は実費ではなく、相手の収入に応じて決まる。
可及的速やかに別れたい場合以外は、財産分与と婚姻費用が一番もらえるタイミングを計ることが大切。
そうアドバイスした奥さんは、夫の常務昇進とともに突然別居し、弁護士に依頼してきた。
協議離婚の場合、養育費は相談で決まるが、調停や審判までいくと裁判所が公表している算定表に父母の収入を入れて決められる。
途中で払うのをやめて逃げるケースも多い。
給与に強制執行をかけられるが、勤務先がわからなければそれも無理。
この弁護士さんは別れる前に相手の友達と親しくなって、行方を辿れるようにしておくことを勧めている。
しかし、家業勤務に変え、手弁当の給与明細にすることで減額請求して逃げる夫もいた。
年金は国民年金(国民全員)+厚生年金(サラリーマンや公務員のみ)+企業年金(一部の企業)の3階建て。
離婚の年金分割対象は2階部分のみ、しかも結婚していた期間の払い込み額相当のみ。
よって専業主婦なら月2万、共働きなら1000円程度にしかならないことが多い。
離婚で揉めるのは争うお金がある中流以上の家庭のみ。
「高度の精神病にかかり、回復の見込みがない時」は離婚原因として認められるとあるが、実は鬱病や統合失調症ぐらいでは認められないことが多い。
夫がウツだから別れたいという妻は、悪意の遺棄を行った有責配偶者とみなされる可能性がある。
有責配偶者とは、不貞行為など自ら離婚の原因を作った者で、有責配偶者からの離婚請求は認められない。
隠れ発達障害は多く、大学教授など知的職業にもみられる。
夫の普通でない行状に離婚を考えていた妻も、病気とわかるとあきらめて思い直すことが多い。
ワンマン創業社長の例。妻がモラハラにうんざりして不倫し、離婚を望んでいるのに、最後までモラハラを続ける。
一時の感情やなりゆきで本意でない離婚届に判をついてしまった時の対策。
市町村役場に「不受理申請書」を出しておけば、提出しても却下される。
それを知らずに、長い間揉めた後に判をついて離婚が成立してしまい、未練断ち切れずストーカーになった男性の事例。
突如出て行った妻は男がいたわけではなく、喧嘩をするといつも結婚前の浮気を思い出し、許せていない自分に気づいたのだった。
夫は妻の結婚直後の浮気を許していたのだが。
夫の浮気に慣れていて冷静な妻は、どうしても離婚を望むなら家の権利すべてを、と要求した。
夫は離婚を決断できず、浮気の維持を望んだが破綻して、元のさやに肩身狭く戻ったという事例。
判をついてしまった離婚届を止めるには、不受理届を出しておく。その撤回には不受理取下書の提出。
要するに離婚届の提出は早い者勝ち。
離婚条件の難航後、「急ぐ話でもない」と言っていたのに、判を尽いた途端、ダッシュで離婚届を持ち帰った男性のエピソード。
相手の気がまた変わらないうちに早く提出してしまいたかったということ。
泣く泣く親権を夫に渡して別れた妻は年下夫と再婚。
すると、成長した子供は母との生活を望んで父の元を去った。
弁護士が子供と話してみると、別に父を嫌いになったわけではなく、自分たちのメリットをドライに考えてのことだった、というエピソード。
民法の認める明確な離婚原因は4つしかない。
5つ目の「その他婚姻を継続しがたい重大な理由がある場合」と認められるには、長期間の別居などの証拠が必要。
離婚したいならまず早く別居すること、というのがこの弁護士のアドバイス。
同性愛、隠していた性的不能、異常性愛の強要などは裁判でも認められやすいが、セックスレスは難しい。
しかし、中高年女性でセックスレスを理由に離婚を望む人は多い。
妻が海外赴任に耐えられないため、離婚を決意した夫。
職業によっては妻にも適性が求められるものがある。
離婚を具体的に検討し始めると、今まで心にしまっていた「本当に自分の子か?」が問題になる。
結婚して6年になる今も新妻のような全力投球をする美しい妻を重荷に感じて離婚を決意した夫。
加工困難なフィルム写真がベスト。
デジタルは加工が容易なので、それより弱くなるが、複数回のラブホ出入りシーンなど決定的内容ならOK。
録音も弱いが、会話の内容が決定的な物なら可能性あり。
ホテルの領収証やクレジットカードの記録は、それだけでは証拠にならない。
入手方法の合法性が大切で、相手の手紙を勝手に開封したりしたら、証拠採用されない可能性が高い。
戦略、交渉術に関するエピソードをまとめています。
優秀ではあるが、妻をバカにしている夫と離婚したいという女性から相談。
バカのフリを続けるようアドバイスし、その間に資産を調査し、一番お金の取れるタイミングをはかる。
突如、弁護士が登場して離婚交渉をまとめ、夫は降参したという話。
娘と結託して夫を阻害していた妻が、ついに離婚を切り出した。
弁護士は、離婚したいのは相手なのだから、そのために譲歩する可能性が高いとアドバイス。
離婚に応じるつもりがあってもなくても、今は家を出ない方が得策だ、と。
この件の原因は妻が夫の浮気を疑ったことだったらしく、いじめに耐えているうちに疑念は解消して和解。
離婚したいのに相手が応じない場合の対策について。
性格の不一致や親戚との軋轢くらいでは、なかなか離婚は認められない。
長期間の別居が加わることで認められやすくなる。
離婚までの婚姻費用も相手への圧力になる。
ただし、自分が不倫したなど有責配偶者の場合は、悪意の遺棄とみなされる危険あり。
帰宅すると妻子が消えていた男性のエピソード。
バツ2でホステスと結婚した裕福な男性。
周到に準備し、相手の落ち度のせいにして離婚、財産分与なし。
出奔した夫に浮気の疑いがあったので、身辺調査をアドバイス。
半同棲状態が判明して、離婚と慰謝料請求を決意。
ただし、出奔直後だから有責配偶者とされる。
時間が経ってからでは、家出した後にできた恋人と主張される。
逆に言えば、家出した直後はおとなしくしておくべき。
親権は、身上監護権と財産管理権で構成される。
身上監護権とは、子供を養い、教育して保護する権利。
財産管理権とは、子供に財産などの権利がある時に代理で管理する権利。
裁判所が親権者を判断する基準は、経済力はさほど重視されず、以前のような母親優先も減ってきた。
そのかわりにでてきた判断材料が、子供の環境に影響を及ぼさないための現状維持。
だから、単独で別居した後で子供を呼び寄せるのはハードルが高い。
妻が3人の子供を連れてブータンに駆け落ちし、メールで離婚や金を要求。
全員で帰国すれば関係修復、子供だけを送り返せば離婚に応じれば、とアドバイス。
妻は子供だけを帰し、愛を取った。
交渉に夢中になって少しばかりのメリットを求めるあまり、大きな失敗や危険に遭わないように。
名家の老人が女子高生趣味に。近所でも噂が立ち、夫が事件を起こす前に別れたい妻。
財産分与とかは考えず、急ぎで離婚成立させてあげたエピソード。
裁判離婚の内訳: まず審判、その結果に異議申立ての場合は離婚訴訟。その結果は和解・請求認諾・離婚判決・敗訴の4つ。
相手が有責配偶者にあたるかどうかが問題。
当たる(慰謝料請求可能) |
|
---|---|
当たらない(請求不可) |
|
まず、話し合いで合意。
合意できなかった場合は、家裁に調停申し立てか、地裁に提訴。
家裁の調停不成立の場合は家裁に提訴も可能。
身上監護権 |
|
---|---|
財産管理権 |
|
通常は親権者が身上監護権と財産管理権の両方を持つ。
他方は子供と別居するが、面接交渉権を持ち、相手より収入が多ければ養育費を払う。
分ける場合は下記のとおり。
親権者 |
|
---|---|
監護者 |
|