まずは家出人の全体情報、家出の原因、よく行く場所、自分たちでできる探し方などを説明します。
続く章で警察の捜索、探偵の捜索を説明します。
家族が行方不明になっても即座に家出とは断定できません。
最初に視野を広げていろいろな可能性があることを認識しましょう。
1.危険のない一時的連絡不能
例えば、周囲に行き先を告げずに外出・宿泊し、携帯を紛失した場合です。
遠方に住む子供が携帯の番号を変えたのを親に知らせるのを忘れ、親が慌てるケースもこれです。
最近は「人間関係リセット症候群」といって、突然SNSの全アカウントを閉鎖し、携帯の電話帳を削除する行動に出る人が増えています。
「自殺の予兆?」と心配して訪ねると、ちょっと引きこもっているだけだったりします。
これらはどれも本人の安全には影響のないものです。
2.自分の意思での家出・失踪
6つくらいパターンがあると思います。
①は行く当ても逃げてどうなる当てもないが、その場に居続けるのがイヤで家出するものです。
親子・夫婦喧嘩、学校や職場でのいじめ、仕事や試験の失敗など、いろいろな原因があります。
③は、親の反対する進路に進むために上京するとか、借金から逃れるための夜逃げ、駆け落ちなどです。
④は認知症高齢者や精神障害・精神病の人の出奔です。
⑤の滞在先は、警察、婦人相談所、民間シェルターなどです。
3.事故や事件が原因
家出以上に深刻で、警察・消防の捜査・捜索が必要な案件です。
具体的には下記のような場合です。
次に家出するのはどんな人が多いのかを見てみましょう。
警察の統計と大手探偵社の受注内容の両面から見ていきます。
警察庁の統計
警察庁が発表した令和3年の「行方不明者の状況」から、原因・動機別集計の令和3年分だけを抜き取ると、次の表になります。
原因・動機 | 平成29年 | 令和3年 |
---|---|---|
疾病関係 |
22,162(26.1%) |
23,308 (29.4%) |
家庭関係 | 14,846 (17.5%) | 12,415 (15.7%) |
事業・職業関係 | 9,912 (11.7%) | 8,814(11.1%) |
学業関係 | 2,342 (2.8%) | 1,750 (2.2%) |
異性関係 | 1,643 (1.9%) | 1,240 (1.6%) |
犯罪関係 | 623 (0.7%) | 420 (0.5%) |
その他 | 19,054 (22.5%) | 15,477 (19.5%) |
不詳 | 14,268 (16.8%) | 15,794 (19.9%) |
合計 | 84,850 (100%) | 79,218 (100%) |
認知症高齢者の徘徊による行方不明が、数の上では圧倒的に多いことがわかります。
しかも、平成29年(2017)から令和3年(2021)の間に、実数も構成比も大きく増加しています。
認知症以外の疾病関係もずっと5,000人以上いて、かなりの数です。
内訳は、うつ病等の精神病や知的障害などのほか、余命宣告に絶望したようなケースも含まれています。
また、事業・職業関係といっても、原因がリストラとパワハラでは全然違いますが、そういう内訳はわかりません。
データの活用のためには少し物足りない面も感じます。
要約すると、警察の統計では認知症徘徊が圧倒的に多く、増加していることがわかります。
探偵社の受注状況1(MJリサーチ)
同社の若梅取締役によれば、一番多いのは10代後半から30歳前後までの若い人だそうです。
男女の割合は半々。
それより上になるとぐっと年齢層が上がって、相続関係や生き別れの人探しが多いそうです。
ただ、これは、疎遠になって長い時間が経過している人探しで、突発的な家出とは別ジャンルです。
そういう依頼が多いのは、同社が相続関係の調査に注力しているせいかもしれないとのことでした。
それ以外では30代の旦那さんの失踪は時々あるそうです。
その年代の女性の場合は、子供連れ去りの案件がメインで、これもまた普通の家出とは違うジャンルです。
探偵社の受注状況2(クロル社)
総合探偵社クロルの幹部に聞いた話では、受注が多い家出人は、圧倒的に普通の成人です。
認知症老人の行方不明者は、相談はあっても早期発見されて、受注に至らないことがほとんどだそうです。
家出といえば「10代の少年少女がすること」というイメージがあります。
しかし、一般には行動半径が狭くて早期発見が多く、受注するケースはイメージほど多くないそうです。
成人の家出人の内訳は下記の通り。
大学生をはじめ若年層では家出人は男女ともあり、男性の方がやや多く、依頼者は親御さんです。
中年以上の家出人では、圧倒的に男性が多く、依頼者は奥さん、独身なら親御さんです。
中年以上で女性の家出人の場合は、たいてい浮気関連(駆け落ち)だそうです。
探偵社の受注状況3(原一探偵事務所)
ハライチさんでは、成人男性の家出人の受注が一番多く、年齢帯に3つのピークがあるそうです。
年齢帯 | 家出のきっかけ |
---|---|
1位 30歳前後 | 仕事の行き詰まり、リストラ、パワハラ |
2位 50代後半 | リストラ、退職勧告、降格・減給 |
3位 大学生 | 留年決定、就職失敗 |
おそらくローンを払い続けるのは無理でしょうが、家を売ることもできません。
所有権を持つ旦那さんが不在だからです。
ローン滞納が続くと家は競売にかけられますが、その代金でローン全額返済はできないと思います。
奥さんが連帯保証人になっている場合、ローン残債は奥さんに返済義務があります。
その額が巨額なら自己破産しか方法がないかもしれません。
とにかく旦那さんをみつけないと、残された家族が大変なことになるのです。
ここまでのことも踏まえ、自分の意思で家出する場合の動機にどんなものがあるのか、掘り下げてみます。
学校関係、仕事関係、男女関係・・・みたいな分け方は他のサイトがやっているので、本質的理由で分けてみました。
どれも「何かから逃れたい」ということだと思います。
その想いに対する具体的行動が3種に分かれるだけです。
金銭問題や生活苦から逃れたい
当面の苦痛や暗い未来から逃れたい
他者の圧力から逃れたい
自殺したい
今と違う人生を生きたい
【家出人に人気の秋葉原】
衝動的な家出直後によく行く場所
行く当てもないですから、とりあえず下記のようなところに行くことが多いです。
子供は一般に行動半径が狭く、最初の5つが有力です。
近所にたまたまそういう場所があれば、空き家や橋の下という場合もあります。
よくある滞在先
1昼夜以上の滞在になると寝床やシャワーもないときつくなってきます。
当てがあれば①、当てのない人は②の2択になることが多いです。
②に関して、地元の都市ではない場合が多いことに注意です。
例えば、東京周辺の県ではみな県庁所在地はすっ飛ばして東京に行きます。
群馬・埼玉・栃木・茨城・千葉県人は地元を素通りして東京に入り、上野・秋葉原、池袋・新宿などのネットカフェに滞在することが多いです。
ただし、神奈川県だけは横浜駅周辺のネットカフェが東京より優先とのこと。
横浜のネットカフェは身元確認が緩いためだそうです。
危険を伴う滞在先
車移動の家出人が良く見つかる場所
道の駅の駐車場に駐車して睡眠を取る場合が多いです。
探偵の話では、一度見に行っていなくても、別のタイミングで何度も見に行くことが大事だそうです。
その他の行き先
当サイトの著者が探偵から聞いた話では、四国八十八か所のお遍路旅に参加する例があるとのこと。
中高年の趣味に思えますが、若い家出人も結構行くそうです。
たしかに安い宿泊先が豊富だし、仲間ができるし、心もリセットできそうな行き先です。
1カ月くらいは過ごせるでしょう。
今は昔と違って、各地の滞在先情報を簡単に入手できるし、各地で安いシェアハウスなども増えています。
そのため、思わぬ地方に行くケースも出てきているそうです。
自殺志向の家出人がよく行く場所
すぐに決行する段階でない場合は、思い出の場所に旅行する傾向が強いです。
思い出の場所
子供時代を過ごした街、大学時代を過ごした学生街、思い出の旅先、失った大切な人のお墓・・・
人によって違いますが、とにかく死ぬ前にもう一度行っておきたい場所です。
「自殺の名所」等
もう決行の決意が固まっている場合は、いわゆる「自殺の名所」などです。
今も昔も富士山麓の青木ヶ原樹海を選ぶ人は多く、「風穴」という地点から入山することが多いです。
大量に飲酒して恐怖を取り除いてから、木の枝に縄をかけて首を吊ります。
遠方の有名な場所でなくても、「自殺の名所」は各地にあります。
また、シンプルに近くの山や橋を選ぶ場合もあります。
橋げたはやりやすいようで、「橋での首吊り」を検索するとたくさん記事が出てきます。
家出した後はどんなパターンを辿るのか、整理しました。
自主帰宅や発見されての帰宅がかなりあり、少し待てば解決する可能性があるのはたしかです。
自主帰宅する
かなりの人が家出当日に自分から帰宅します。
友人宅などに数日滞在した後、帰宅するパターンも多いです。
発見されて帰宅する
家族や警察、探偵の捜索で発見され、促されて帰宅するパターンです。
自主帰宅も含めて発見率は家出後1週間以内が74%を占めます。(令和元年統計)
しかい、逆に言うと1週間を過ぎると発見率は極端に下がるわけです。
帰宅できない状況になっている、または帰宅の意思がない可能性が高まります。
なお、発見されても帰宅を拒否し、さらに移動する場合もあります。
そのまま放置すると、単なる家出から次の段階に進んでしまう危険があります。
自殺する
成人男子の家出は、就職失敗や失業などがきっかけで将来を悲観して起きることが多く、自殺率の高さが特徴です。
決行前に想いでの場所を旅行するケースが多いですが、もたもたしていると決行されてしまいます。
ネット掲示板で「神待ち」する
中高生女子に多い行動です。
寝泊まりする場所を提供してくれる人を「神」と呼び、ネット掲示板やSNSで探します。
ロリコン男性がそういう募集メッセージを出しており、ほとんどの場合、セックスと引き換えの一種の売春です。
こういう馴れ初めで仲良くなった男性がDVを振るうようになり、傷害・殺人に発展して報道されています。
所持金が尽き、親が探してくれず、「自分は不必要なんだ」と感じるとこういう行動に走ります。
売春に慣れてしまうと底なしの転落が始まるので、そうなる前に食い止めるべきです。
不良グループに入る
ゲームアーケード、ファストフード店、盛り場などで過ごすうち、悪い仲間に加わるパターンも10代には多いです。
やがて犯罪に関与するリスクがあり、長引けば更生も大変です。
車中泊で全国移動する
車での家出の場合、車中泊で長期間移動していく場合もあります。
道の駅の駐車場などに車を停めて宿泊します。
ネットカフェ暮らしになる
ネットカフェ・マンガ喫茶に長期滞在する場合もあります。
個室とシャワーがあり、コインランドリーもある店があります。
名前は出せませんが、長期滞在者が多く、家出人の間で有名な異臭の漂う不潔なネットカフェもあります。
非正規の仕事を見つけてそこから通勤する場合も。
居住環境が悪く、保険なしでは医者にも行けないので、長くなると健康を害します。
ホームレスになる
所持金が尽きても帰宅を拒否し、そのままホームレスに混じって暮らす人もいます。
そういう人にとって家は帰れる場所ではなく、最も逃れたい場所なのかもしれません。
別の場所で生きていく
親の反対する進路に進むために家を捨てた人や駆け落ちした人は、遠くで新しい人生を生きていきます。
時が経てば家族とも和解できるかもしれません。
夜逃げした人は、いつまでも住民票を移せず隠れていきるので、低収入で悲惨な人生になることが多いようです。
身元不明のまま保護され続ける
かなりの認知症老人が徘徊後にこの状態のままになっています。
自分の身元を説明できないため、保護している自治体も手が打てないのです。
見つけてあげなければ、そこで死を迎え、無縁仏になってしまいます。
いなくなってすぐに警察に届けたり、探偵を雇うことは現実にはないと思います。
まずは少し自分たちで探してみるはずです。
簡単にできることをまとめました。
電話・メール・LINEで連絡を取り続ける
定期的に連絡を試みるべきです。
しかし、立て続けに何度も連絡するいわゆる「オニ電」は電池を消耗するので避けましょう。
肝心な時に電池切れで通話できなくなる危険があります。
また、「どれだけ心配をかけてるか、わかってるのか?!」といった叱責や「すぐ帰ってこい!」といった命令は控えてください。
家出人の反発を買い、かえって家出を長引かせてしまう可能性が高いです。
あと、事件性がある場合、探していることが事件関与者に伝わると事がこじれるリスクもあります。
考えられる関係者全員に問い合わせる
実家・友人・知人・学校・会社・塾・クラブ・サークル・近隣の住民などが考えられます。
「いなくなったが心当たりはないか?」と問い合わせ、「何かわかったら、どんな小さなことでも知らせてほしい」とお願いします。
消息を断った場所の人には、直前の様子がどうだったか聞くと、手掛かりがつかめるかもしれません。
退社後に帰宅しなくなったのなら会社の人に、家を出た後に行方不明になったのなら最後に会った家族に様子を聞くということです。
家出人がよく行く場所を手分けして探す
先ほど挙げたような場所を探してみてください。
先ほどのはあくまで例で、地域地域にその家出人のような人が行きそうな場所があるはずです。
家出人の友人などに、そういう場所の心当たりがないか聞いてみるといいでしょう。
家出人の自宅に手がかりがないか探してみる
例えば、部屋に東京のガイドブックが数冊あり、パソコンに東京の地名の検索履歴があり、ゴミ箱に東京に関するメモがあったら、行き先はおそらく東京です。
タンスの中が空なら、滞在先または新居を確保した上での計画的な家出と考えられます。
自転車、バイク、車などがなくなっていれば移動手段が判明し、行動半径の参考になります。
貯金通帳が残っていれば、通帳記入で出金場所を追跡できます。
携帯と財布が残されていたら、自殺や事件が疑われます。
注意点は、些細なゴミでも捨てたりしないこと。
自分たちで探して見つからない時は、探偵に見せて手がかりを探してもらうためです。
ネットで名前などを検索してみる
Twitterで「家出中ナウ」などとつぶやいているかもしれません。
友人のInstagramの写真や動画の投稿に映りこんでいるかもしれません。
突発的な家出で考えられるのは上記のようなことですが、長期の行方不明者の場合はネット検索も重要な捜索手段です。
自分たちでの初動調査で見つからない時は、長くとも2~3日で見切りをつけてください。
家出人の47%が家出当日に自分で帰宅し、2~3日で帰ってくる人も多いです。
これは逆に言うと、2~3日待っても帰らなかった場合は、自主帰宅する可能性が大幅に減ったということです。
家出が長引く、もしくはずっと帰ってこないケースに該当する可能性が高まったということです。
「まだ一週間しか経っていない」というようなことをおっしゃる方が多いですが、危機感が不足です。
自殺が目的だった場合、すでに手遅れの可能性が高まっています。
家出直後なら残っていた手がかりもどんどん消えています。
これ以上待つと、探偵に頼んでも探すのがどんどん難しくなっていきます。
警察への届出
ひと通り探して見つからなかったら、少なくとも警察には届けましょう。
幼い子供や認知症高齢者の場合は、その日のうちに届け出るべきです。
行方不明者は、緊急性のある「特異行方不明者」と、それ以外の「一般行方不明者」に分類されます。
一般行方不明者に分類されてしまうと、積極的な捜索はしてもらえないことが多いです。
しかし、それでも警察への届出は最低限しておくべきことだと思います。
探偵への相談
人探しの専門家は探偵です。
大手探偵事務所の場合、家出人捜索は仕事の2割くらいを占め、7割を占める浮気調査に次いで多い仕事です。
警察に一般行方不明者と分類されたが、家族は危機感を感じている場合、頼りになるのは探偵です。
特異行方不明者の場合も、警察任せにせず、自分たちでも探したいなら探偵です。
お金はかかりますが、家族の要望に応じてくれるのが、警察にはないメリットです。
既に述べたように、家出には原因があります。
その原因を取り除かないと、帰宅しても家出を繰り返す危険があります。
例えば借金苦で家出したなら、その解決も支援しないと、返済や取り立てが苦しくてまた逃げることになります。
学校や職場のいじめの場合もそうでしょう。
当人へのカウンセリングが有効な場合もあります。
認知症高齢者が徘徊を繰り返す場合は、施設に預けるなどの方法を含め、医師や福祉の専門家に相談すべきでしょう。
闇金は実は利子・元金ともに返済義務がなく、専門の弁護士・司法書士はすぐに取り立てを止めることが可能です。
消費者金融や銀行、ローン会社など正規貸金業者の借金は債務整理などの解決策があります。
収入と消費のバランスを再構築するファイナンシャルプランニングも必須です。
家出人を捜索・支援する人間が代わりに取り立てに合わないよう注意する必要もあります。
そういうことを総合的にまとめた記事です。
誰かが家出・失踪したり、原因不明の行方不明になると、その家族は多大な心配に苦しめられます。
亡くなって発見された場合はもちろん深い悲しみと喪失感を味わうでしょう。
しかし、その後にさらなる問題が続く場合があります。
無事発見されて場合もハッピーエンドで終らない場合があります。
犯罪や事件に関与していた場合
家出中にお金が尽きて闇バイトに応じ、犯罪を犯していた場合、発見後には裁判・服役・損害賠償などが続きます。
未成年が売春を対価に大人の家に滞在し、それが事件として報道される場合もあります。
いずれも当人および家族の社会的評価の著しい低下が不可避です。
認知症老人の事故が訴えられたケース
2007年、愛知県で認知症の老人男性が線路に侵入して、列車と衝突して死亡しました。
JRはこの件で高齢の妻に720万円の損害賠償を求め、一審・二審はJR側の勝訴で、世間に衝撃を与えました。
認知症の夫の管理責任を年金収入しかない老婆が莫大な金額レベルで負わされるのか?!、と。
幸い、福祉関連団体などの支援も受けて2016年の最高裁判決では逆転勝訴しました。
しかし、10年近くにわたり、高齢の妻は莫大な金額の損害賠償訴訟に苦しめられたのです。
介護者の支援を行っているNPO法人の話では、こういう例はほかにもあり、実際に支払ったケースもあるそうです。
認知症・知的障害・精神障害の家族の徘徊を放置すると、他者に損害を与えて訴訟に遭うリスクがあるということです。
家族へのバッシング
子供が行方不明になり、親は苦しんでいるのにいわれなきネット攻撃に遭う事例が発生しています。
「親が関与しているのでは?」とか「悲しんでいるように見えない」とか根拠のないことを書き込まれ、それが拡散しています。
家出ではないですが、事故や殺人で家族を失った遺族が「金や売名が目的」と根拠もなく貶められる例も発生しています。
被害者を攻撃する一部のネット民の行動はまったく不合理ですが、そういう人間がかなりいるのも事実なのです。
当サイトが警察には早期に届け出るよう推奨しているのは、この観点からでもあります。
何かあった時に「なぜすぐに警察に届けなかったのか?」という非難を受ける危険は回避しておくべきです。
平成21年に警察の用語改訂があり、「家出人」は「行方不明者」に、「捜索願」は「行方不明者届」に変更されました。
自分たちでひと通り探して見つからなかったら、早めに警察に行って「行方不明者届」を出すべきです。
行方不明者届を出せる人
配偶者、家族などが原則で、恋人・同居人・雇用主なども本人との関係性が深ければ認められる場合があります。
友人はどれだけ親しくても無理です。
提出者を限定しているのは、警察の捜索の悪用やプライバシーの侵害を警戒しているのです。
友人の捜索願を出したい場合は、友人の身内など関係者に知らせて、出してもらう必要があります。
行方不明者の2分類
特異行方不明者 |
★殺人や誘拐などの事件性がある場合 |
---|---|
一般行方不明者 | ★上記以外の人 |
積極的に探してもらえるのは「特異行方不明者」だけで、分類を決めるのは警察です。
家族が事件性や自殺の危険を感じていても、警察が一般行方不明者と決めたら変更はできません。
一般行方不明者への対応
「一般行方不明者」に分類された場合も、データベースに登録して警察内で情報共有はします。
しかし、あとは通常の警ら業務中に気をつけておく程度です。
見つけても届が出ていることを告げて連絡を促すだけで、保護まではしません。
健常な成人には誰にも告げずに好きな場所に行く自由があるからです。
当人が探してほしくないならその意思は尊重せねばなりません。
ただ、発見の概要は家族に伝えてくれるので、手掛かりにはなります。
積極的な捜索は期待できないが、届出はムダではないのです。
届の不受理を申請している場合
下記の場合は、誰かが行方不明者届を出しに来ても受理しないよう、警察にお願いできます。
家族に探してほしくない場合は、上記のような事実がなくても、嘘をついて不受理にしてもらっている場合もあります。
その場合は警察の協力はあきらめて、探偵への依頼一択になります。
「特異行方不明者」とされた場合、警察は積極的に捜索します。
基本的な捜索方法
対象による温度差あり
とはいえ、熱の入り方は対象の状況によって大きく変わります。
例えば、幼い子供が行方不明になり、事故や事件(誘拐・拉致・殺人等)の可能性がある場合、多数の捜査員を投入して聞き込みや捜索をします。
それに比べて、遺書があるとはいえ、自分の意思で行方不明になっている大人にはそこまで力を入れません。
そういう場合は警察だけに任せず、探偵を使った捜索も平行して進めるべきではないかと思います。
【MJリサーチの探偵たち】
自分たちでひと通り探したが見つからない。
警察にも届けたが、家出人はまだ帰ってこない。
そうなるともう頼りになるのは探偵だけです。
探偵の選び方、頼み方、費用、調査方法などを紹介します。
浮気調査は探偵社にとって最多の仕事であり、ほぼすべての探偵社ができますが、家出人調査は違います。
最初からメニューにない業者もあるし、人の命がかかった仕事だから、不得意な会社に任せるべきではありません。
家出人捜索が得意な探偵社を見つけるのがスタート地点です。
そういう会社の選別条件として下記が必須です。
①は必須で、これが充実していないと限られた人数と時間の制限内で発見するのは、絶対不可能です。
捜索先の候補は無数にあり、的確に取捨選択できないと時間切れになります。
②は、まず余裕があって即座に着手できるということです。
零細業者だと浮気調査がひとつ入っているだけで手いっぱいで、動けるのはそれが終わってからになります。
時間が経つほど発見率が下がり、自殺の危険もある家出人調査では話になりません。
また、人海戦術で探すので、家出人調査に経験のある探偵を複数用意できるかもポイントです。
プロの家出人捜索部隊がどんなことをするのか、その一端をご紹介します。
自室の手がかり調査
必要に応じ、家出人の自室に手がかりが残っていないか調べます。
探偵が希望したら、散らかったり汚れていても、恥ずかしがらずに見せてください。
探偵に見せる前にゴミを捨てたりもしないでください。
ゴミ箱の中身がヒントになる場合もあります。
スマホやパソコンは、必要に応じてデジタルフォレンジックに回すこともあります。
パスワードを解錠したり、壊れた機器からデータを取り出す技術のことです。
ローラー調査
【新宿ローラー調査・歌舞伎町(提供:原一)】
状況を判断し、捜索先の候補リストを作成します。
探偵のチームを組み、人海戦術でこのリストの聞き込みや見当たりを行うのがローラー調査です。
ローラーがすべてを押しつぶして進むように、しらみつぶしに当たることを意味します。
聞き込み調査
聞き込み調査にも技術が必要です。
例えばネットカフェでは店はお客さんのプライバシーを尊重して、素人が聞き込みに行っても何も教えてくれません。
突破するノウハウがないと、いつまで経っても終わりません。
調べていることが相手に伝わるとまずい状況では、聞き込みと悟らせずに情報収集するテクニックを使います。
ただ、これができる探偵は非常に限られています。
見当たり調査
【新宿ローラー調査・居酒屋(提供:原一)】
警察用語で、対象者の顔写真や外見的特徴を記憶し、人ごみの中から見つけ出すことをいいます。
この用語を使っていない探偵社もありますが、人探しが得意な探偵社なら、必ず見当たり調査の達人がいます。
居酒屋に聞き込みに行けば、同時に客として来ていないか、店内を見当たりします。
移動の間も通行人に混じっていないか、目を光らせます。
実際に会ったことがない人を写真だけで記憶し、雑踏の中から見つけるのは素人には不可能な技です。
以前に取材した「B***先生」というニックネームの人探しの達人は、すごいエピソードの持主でした。
10万人の入場者のいる競馬場で発見したり、駅で朝8時からぶっ通しで張り込んで夕方5時ごろに見つけたり。
当人の自慢話ではなく、周囲の探偵から聞いたので間違いありません。
自殺の名所の調査
【樹海内の捜索(提供:原一)】
例えば、富士山麓の青木ヶ原樹海は今も自殺志願者が多く入山する場所です。
入山者が多い「風穴」という場所から入り、遺留品などを丁寧に調べていきます。
1日30~40kmは軽く踏破し、靴がすぐにボロボロになるそうです。
【通称「樹海セット」(提供:原一】
大手有名探偵社の原一探偵事務所の場合、そういう場所では社内で「樹海セット」と呼ばれる道具一式を携行します。
2km先まで光が届く強力なライト「イグナス」やザイル、虫よけスプレーなどのセットです。
聞き込み調査
周辺のお店では聞き込みもします。
樹海付近ではハイカーもいますが、グループ行動が標準です。
一人で歩いている人を見かけなかったか聞きます。
泥酔してから自殺を決行する人が多いので、お酒を扱っている店では、一人で大量に買い込んでいく客がいなかったか聞きます。
チラシ配布
お店では探し人のチラシも配布します。
スタッフルームに貼りだし、みかけたら連絡するよう従業員に呼びかけてもらいます。
ドローン調査
行くのが危険で時間のかかる崖下や橋の下、勝手に入ると住居侵入罪になってしまう廃屋などはドローンを飛ばして調べます。
関東
都内では池袋・新宿と上野・秋葉原が家出人のメッカ。
埼玉の各線は乗換なしで池袋に入る。
面白い場所など何一つない県内に残る理由はなく、埼玉の家出人はほぼ100%東京に向かう。
一方、群馬や東北の路線は上野に接続する。
上野・御徒町・秋葉原のエリアは、レトロで庶民的な雰囲気で、田舎から来た人やおしゃれに無縁な人も居心地がいい。
面白いことに池袋になじみのある人は新宿を怖いと思い、新宿になじみのある人は池袋を怖い街と思う。
秋葉原はオタクの聖都で、他の街とは違うキャラクターを持つ。
どの町の可能性が高いかは、家出人の情報を詳しく聞いて判断する。
渋谷・原宿などは「まぶしいおしゃれな街」で、滞在の可能性は少ないが、見物歩きの可能性は大。
このように東京は家出人が行きやすい場所が豊富だが、神奈川県人の場合はまず横浜駅周辺を捜索すべきだ。
(原一探偵事務所 本社A探偵談)
北海道
北海道の家出人は、すすきのに向かうことが多い。
青森に抜けたり、空路で東京に向かうのはレアケースで、計画性のある家出に限られる。
自殺の危険がある場合は、思い出の場所近くのパーキングや森が決行場所に選ばれやすい。
冬期なら首つりのような勇気のいる方法を取らずとも、泥酔して外で寝るだけで死ねる。
そういう対象者はルーツを洗い、道の駅などを繰り返し念入りに探す。
(原一探偵事務所 元札幌支社長談)
四国
当地には「四国八十八カ所」という他所にない家出の聖地がある。
広大なこの場所を4つのエリアに分け、データの蓄積と捜索活動計画を行う。
ほとんどの寺にチラシを貼らせてもらったことがあり、発見の暁には必ずお礼のあいさつに行く。
これによって信頼関係ができ、次回の捜索の時に話が早くなる。
こういうネットワークの蓄積には長い年月がかかる。
お遍路の宿泊所の状況などもすべて把握している。
道後温泉も有力な潜伏先だが、潜伏の多い場所・聞き込みや捜索の優先順位・協力的/非協力的なホテルのリストなど、すべて整理されている。
こうしたデータベースの完備が瞬時に動けるかどうかを決定する。
(原一探偵事務所 愛媛県松山支社長談)
全国
どんな状況・属性の家出人がどの街のどのネットカフェで見つかったか、といったことをすべてデータベース化しています。
我々は「探偵の勘」頼みではなく、統計に基づいて捜索するのです。
(原一探偵事務所 上級幹部Y氏談)
一般に相談~見積もりは無料で、契約書を交わすまで料金は発生しません。
できるだけ多くの情報を提供することが、早期発見・費用低減につながります。
下記のような情報を用意してください。
本人写真
写真は必須で、これがないと探せません。
なるべく最近のなるべく大きく写った写真が望ましいです。
他の人が一緒に写っていてもOK。その人を先に見つけてヒントになる場合もあります。
証明写真もOKです。
卒業アルバムの古い集合写真しかない場合などが厳しいですが、それしかなければ仕方ありません。
家族が最近の写真を持っていなくても、当人のSNS(Facebook、Instagram、Twitter、LINEなど)がわかれば、教えてください。
そこにいい写真があるかもしれません。
本人の情報
下記のような情報を可能な限り詳しく教えてください。
氏名/年齢/身長・体重/身体的特徴(メガネの有無、顔、傷・あざetc)/失踪時の服装/失踪時の移動手段/所持金/出身地/血液型/勤務先・職歴/金融機関(銀行・クレジット)カードの有無/資格・免許/失踪前後の情報/失踪の原因/過去の失踪歴/普段の行動範囲エリア/ブログやSNSのアカウント
遺書、書置きなどがある場合は見せてください。
探偵はどんな依頼でも受けるわけではありません。
探偵業法第七条は、依頼者から「違法な目的の調査ではない」旨の書面の交付を受けなければならないと定めています。
第七条 探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、当該依頼者から、当該探偵業務に係る調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付を受けなければならない。
要するに、依頼者は一種の誓約書を出すことが義務付けられているわけです。
といっても、実際は探偵社が用意している定型書類に署名するだけですが。
そして受注して調査が始まった後でも、「これはおかしい。本当の目的は違法だ!」と気づいたら、中止しないといけないと定められています。
第九条 探偵業者は、当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはならない。
要するに受注前でも受注後でも、違法な調査はできないわけです。
例えば、ストーカーや闇金、暴力団の人探しは受任できません。
ストーカーの探偵悪用事件
2012年、逗子ストーカー殺人事件が起き、その中で引っ越しした被害者を探すのに、ストーカーが探偵を使った事が判明しました。
この件で探偵業界は社会から激しい非難を浴びました。
それ以来、各探偵社は人探しの依頼内容を慎重に精査するようになっています。
今もストーカーなどが嘘をついて依頼してくる例は絶えませんが、少し話し込めば辻褄が合わない所が出てきて、断わられることになります。
費用の概算
費用はざっくり言えば、手がかりが多い場合は50万円から、少ない場合は100万円からです。
人海戦術で探偵をたくさん使うし、簡単に見つかるとは限らないからです。
浮気調査なら、浮気する日の見立てが正しければ、探偵2人で半日で終わります。
家出人捜索はそういう定型的なものではないのです。
費用を下げるコツ
この業界は消費者トラブルも多いので注意してください。
投入人数のごまかし
「4人の探偵チームで探す」と言ってその前提で見積もりしながら、実際は2人しか投入しないようなインチキを行う探偵社は結構あるようです。
相談時に「探偵の投入人数を盛る探偵社があると聞いた」「本当にこの人数でやっていただけるんでしょうね?」と念を押してみましょう。
普段からインチキをやっている会社なら歯切れが悪くなり、雰囲気でわかるかもしれません。
本当に投入した人数は依頼者側からは確認しようがないです。
しかし、こんな確認もすることで「このお客さんは舐めない方がいい」という緊張感を与えることはできます。
やらずぼったくりの詐欺
お金だけ取ってまったく探さず、連絡を絶つ詐欺もあるので注意してください。
こんなことをするのは間違いなく無届の違法業者です。
つまり探偵を騙っているが、探偵ではない者です。
合法業者の場合、探偵業法第四条に基づき地元の警察経由で公安委員会に届出をしています。
届出書類には履歴書、住民票、会社登記謄本などが含まれています。
つまり、警察権力に対して身元が割れているわけです。
身元が割れているのに詐欺をして速攻逮捕されるような馬鹿な人はいません。
届出済でも調査能力の程度はピンキリですが、少なくとも詐欺や脅迫などの犯罪行為はない安全性があります。
依頼先選定では、届出済の合法探偵から選ぶのは最低条件です。
依頼の前に必ず届出証明書を見せてもらうようにしてください。
番号が本物か、営業停止処分などを受けていないかは、事務所所在地の警察に問い合わせればわかります。
当サイトでは現在はMJリサーチと総合探偵社クロルの2社をイチオシにしています。
この2社には共通点が多いです。
必ず期待に応える調査をしてくれると思います。
MJリサーチ 探偵業届出番号:東京都公安委員会 第30200349号
【MJリサーチ鈴木代表】
この会社はデジタル・フォレンジックも得意としています。
つまり、スマホやパソコンのパスワード解錠や壊れたパソコンからのデータ取り出しなどです。
家出人の手がかりがデジタル機器に残されたデータにありそうな時、力を発揮します。
★拠点一覧 2023.11現在 11ヵ所
本社 | 東京都中央区新富町(銀座の隣町) |
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東京&周辺県 | 銀座支店/品川支店/練馬支店/西東京(立川)/埼玉支店 |
北関東・東北・信越 | 群馬支社(太田市)/群馬高崎支店/福島支店 |
中部・関西 | 名古屋支店/大阪支店 |
★事務所に行かずに相談・契約OK
出張相談、オンライン相談、郵送契約に対応。時間の取れない人も便利。
もちろん、事務所での商談もOKです。
★無料相談&割引情報
本サイトの読者に対してMJリサーチはクーポンを発行してくれています。
メールやLINEでの申込ではクーポンコード「MJR15」を記入すると、基本料金が無料になります。
また下記電話では自動でクーポン適用となります。
フリーダイアル: 0078-6009-0036
(※スマホからは上記番号をタップしてかけられます)
総合探偵社クロル 探偵業届出番号:東京都公安委員会 第30210097号
★全国6拠点(2023.8)
東京都池袋(本社)/北海道札幌市/埼玉県霞が関/大阪市北区/名古屋市中区/岡山市北区
★無料相談&割引情報
本サイトの読者に対してクロル社はクーポンを発行してくれています。
メールやLINEでのご相談の際はクーポン「DT-11」を記入いただくと、基本料金が無料になります。
下記番号での電話ご相談は自動的にクーポン適用となります。
フリーダイアル: 0078-6014-1024
【原一探偵事務所本社ビル】
創業49年の老舗で、一般社会に多少でも知名度がある唯一の探偵社ではないかと思います。
コロナ前は人探しのガチ調査テレビ番組が多かったので、軒並み制作協力していました。
業界随一の陣容と装備力を誇る会社です。
★基本料金50%OFFキャンペーン
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原一探偵 基本料金50%OFF
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