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浮気や離婚の関連書籍の要約を紹介するコーナーです。
今回の本は下記。
浮気された妻たちへの取材ルポです。
「夫の不倫で苦しむ妻たち」
亀山早苗 著 WAVE出版 1,400円(税別)
著者の亀山氏は、女性の恋愛・結婚問題に関する取材が多いフリーライターで、人気の前作「不倫の恋で苦しむ男たち」に続く作品です。
夫を疑う瞬間
夫に少々不審な点があってもわざわざ調べたりはせず、明確に怪しい材料が出てきて初めて本気で疑い出す妻が多い。
子供を叱ってばかりだったのに「ほめて育てた方がいいんだって」と突如言い出した夫。(誰に聞いたの?)
スーツのポケットから出てきたディズニーランドの半券。
しかし、確信があってもなお問い詰められない妻は多い。
真実を知ればプライドは傷つくし、家庭に波風が立ち、離婚とかに発展するのも怖い。
夫を疑う瞬間は多々ある。
他の浮気発覚の契機としては、友人や近所の人から夫が別の女性といるのをみかけたと教えられる場合がある。
何か疑問を呈したり、携帯やパソコンを見ると逆ギレされることも多い。
「自分さえ我慢すれば」と考える女性も多いが、長い目で見た時、それが正解かどうか疑問だ。
問いただせない妻が多数派だが、逐次問いただす妻もいる。
いちいち釘を刺すことで不倫を予防できるかもしれないが、逆に無実の者を追い詰めて反逆に向かわせる危険もある。
浮気をした夫との対峙
浮気の現場に踏み込んでしまった、結婚10年、39歳の主婦の例。
帰宅してドアホンを鳴らしてもなかなか出ず、やっと出てきた夫の顔には狼狽の色が表れていた。
クローゼットを開けると裸の女が隠れていた。
夫を問い詰めるとあっさり白状したが、この妻はセックスしていたことが明白なこの状況でも夫に否定してほしかったという。
肉体関係の評価について意見は分かれる。
心を奪われるのが許せない、カラダだけが目的だったほうがいっそ許せるという人もいれば、セックスはやはり許せないという人もいる。
そうしたわだかまりがあっても、別れは切り出せず、その理由に子供を挙げる人が多い。あるいは世間体。
しかし、著者はそれは自分の気持ちと向き合うことから逃れる口実の場合も多いのではないかと指摘する。
さて、50歳以上の妻は戦前の教育を受けた親に育てられており、夫に反旗を翻したり、家庭を壊すことに恐れを抱いていて、若い世代と大きく違う。
我慢しがちだが、50代も後半になって突如、夫から離婚を言い渡される場合もある。
もっと自分の幸せを優先した方がいいのではないだろうか。
20年にわたって夫と従業員の女性に裏切られていたことを知った60代後半の女性の例。
シングルマザーの従業員を助けてきたが、子供は自分の子だと夫から告げられた。
子供には離婚を勧められるが、もうエネルギーがない。
一方で子供が大学進学を希望する場合などを考えると、安泰なはずだった老後も心配になってきた。
夫に愛されたという心の満足を得られない寂しさ。
浮気を知った妻は心の葛藤に悩まされる。
悪いのは夫とわかっていても、相手の女性を憎んだりもする。
姑に「あなたが家庭の居心地を悪くしてるのでは?」と言われ、自責の念に苦しんだり、女としての魅力のなさに劣等感を感じたりすることもある。
相手が特定できた時の妻の行動
浮気相手が特定できた場合、直接電話やメールで連絡したり、会いに行ったりする妻もいる。
美春さん(42歳)は夫の携帯のリダイアル上位番号を社員名簿と照合して相手を特定し、電話をかけて別れてくれと訴えた。
帰宅した夫は「みっともないことはやめてくれ」と言い、妻は「どっちがみっともないことしてるのよ」と反論した。
その後、しばらくして問題は解消したかに見えたが、夫の無断外泊で再燃。
夫の同僚立ち合いのもとで三者会談。
妻は女をひっぱたき、二人は激しく言い合った。
夫が「時間をくれ」と言って、この会談は終わった。
時間が経つにつれ、妻は「あの女もつらかったのかもしれない」と思うようになった。
しばらくして、夫は女と別れたといってきて、表面的には平穏が戻った。それ以上の深い話はまだできていない。
敬子さん(32歳)の場合は、興信所を使って浮気相手の住所をつきとめ、夫が滞在している時に乗り込んでいった。
ドアを激しくたたき、やっとドアが開くと妻は愛人につかみかかっていった。
夫はそれを制止して連れ帰った。
男としては愛人をかばう行為のつもりだったかもしれないが、愛人の目からはむしろ妻の凶行を防いでいるように見えた。
その後、3カ月もほとんど連絡が取れない状況。
今は隠れて再会しているが、日陰者の身がつらい。
愛人は相手の離婚を望んでいないが、さりとて彼なしで生きていくこともできず、ジレンマを抱えたまま時が進んでいる。
妻として、夫として、人としての真価が問われる時
真理子さん(36歳)の場合は、夫の怪しい兆候を見てから、自分で1週間連続で尾行した。
空振りが続いたが、最後の日に夫がタクシーに乗ったので、別のタクシーで追いかけた。
行き先の高級レストランから3時間後に若い女と出てきて、再びタクシーに乗った。
女のマンションに二人は入って行ったが、妻は近所の者を装ってドアホンを鳴らし、土足で部屋に乗り込んだ。
妻は夫を連れ帰り、話し合いはしたが結論は出さなかった。
それから夫に浮気の兆候がなくなり、別れたようだった。
一方、妻は昔の恋人に偶然会い、初めての浮気をしていた。一度きりだったが。
愛していなくてもセックスしたくなる気持ちがわかり、夫を少し許せる感覚になった。
その後、夫婦はセックスの頻度も上がって、何となくうまく行っている。
次の祐一さん(38歳)は、妻から愛人に連絡を入れられた夫の例。
彼女に電話すると奥さんが連絡してきたとのこと。泣くばかりで何を言われたのかは言わない。
帰宅すると妻は怒りを抑えて問いただしてきたので、夫はかえってビビった。
その後、3カ月、この問題について夫婦で話し合うことはなかったが、妻の本気の怒りは伝わってきた。
愛人とは疎遠になっていった。
最近、夫婦でセックスした時、妻が泣き、夫は妻もつらいことを理解した。
次は浮気が原因で一度別居した謙太さん(49歳)の事例。
今まで浮気はしても外泊まではしなかったが、その相手は特別で時々泊るようになった。
妻が業を煮やして「一緒に暮らしたくない」と言ったので、別居することにした。
妻が離婚を望めば応じるつもりだったが、ある時「帰ってくれば」と言ったので帰宅した。
謙太さんは結婚を望む愛人に応じられなくて、やむをえず別れた。
この妻は浮気夫を追い詰めすぎず、掌の上で転がしてコントロールしているのかもしれない。
最後に、浮気相手が夫の子を出産した悠子さん(33歳)の例。
相手は夫より7歳年上で、夫から妊娠を告げられた。
苦悩したが、夫を愛する気持ちは確かなので、3者会談をすることにした。
相手はまず謝罪し、認知もお金も要らないので産ませてくれと言ってきた。
妻は同性として彼女の立場を理解した。
その直後、相手は会社を辞め、引っ越し、実家に問い合わせても行方不明で、自ら消息を絶った。
しばらくして相手から出産の報告が届いた。
元気でやっているので、心配しないでくれ、と。
夫は妻と愛人を傷つけたことを理解し、自責の念にかられた。
その後、夫婦仲はよくなったという。
結婚1年半で夫が外で恋愛
5年もつきあって結婚しながら、たった1年半で夫の浮気が発覚。その後、1年ほどすったもんだして、結局、離婚を選択した有佳さん(34歳)の例。
仲良し夫婦だと思っていて大好きだったのに、ある日帰宅すると女性が来ていた形跡があり、問い詰めるとあっさり白状した。
3カ月ほど悶々としたあげく、自分の両親に相談して3者面談、しかし、夫は単に現状を続けたいだけだった。
そこで夫の両親に相談して再度3者面談、結婚生活をやり直すという言質を取った。
彼女は良き妻であろうと努め、一見、円満な家庭が取り戻せたかに見えた。
しかし、ある日、夫がひどく落ち込んでおり、相手の女性が事故で足の指を切断したことが原因と白状した。
不倫は続いていたのだ。
妻は病院に問い合わせたり、電話帳や社員名簿と照合して、相手を特定した。
相手の家に乗り込むと冷静に話した。
夫は相手と結婚すると言ってくれているという。
相手は明らかに緊張しながら、「奥さん、落ち着いている」と言った。
相手は自宅のマンションまで車で送ってくれた。
その後、お互い弁護士を立てて、協議離婚が成立した。
結婚7年で離婚
24歳で結婚、7年目で離婚した晶子さん(34歳)の例。
夫は浪費家で、結婚5年目から仕事のストレスからか、それがひどくなった。
それでも、厳格で暴力的な父親と違って優しいので、夫が好きだった。
しかし、七夕の夜、唐突の離婚の希望を告げられた。
事態が把握できないまま、その場で了承の返事をしてしまった。
晶子さんはガミガミ言うタイプではなかったが、それでも夫は家計のことを言われるのにうんざりしていたらしい。
その時点での借金額は800万円。
「彼女は将来の夢を語ってくれる。借金も返せるし、家も持てるって言うんだ。」と言う。
その後、寝室にわざと下着を忘れていくなど、相手の嫌がらせが始まった。
すると妻も意地になり、妊娠して阻止しようとするなどもした。
最後に相手と会わせてくれと夫に頼んだが実現しなかった。
クリスマスイブに離婚届を提出。
相手は慰謝料400万円を支払ってくれ、夫の借金もきれいにしてくれたらしい。
離婚後、晶子さんに恋人ができるが、その男はゲイだと判明した。
やがて金をせびりはじめ、男性複数プレイの費用まで負担し、目の前で行為を見せつけられたりもした。
晶子さんの負債は1000万円にも膨らみ、この関係を断って、自己破産した。
結婚20年で離婚
美弥子さん(48歳)は色白な知的美人で経営者。
結婚3年目で長男に恵まれたが、その頃、それまで淡泊だった夫のセックスが大きく変化した。
ほかに女性ができたせいではないかと疑ったが、家庭生活を乱したくなかったので、問い詰めなかった。
しかし、そのうちに夫のバッグからコンドームや他の女性へのプロポーズの手紙を発見することになる。
そして、ついには自分の変態的セックスを録画したビデオの山を発見してしまう。
ある日、夫が「デート」に誘い、50万円の小遣いを渡してきたので「何かの罪滅ぼし?」と聞くと、突如土下座して浮気を白状した。
それ以降、妻は夫を生理的に受け入れられなくなった。
セックスは拒否し、洗濯物は別にした。
それでも別居に踏み切れなかったのは、「結婚したら離婚してはいけない」という思い込みが強かったから。
生理的に受け付けなくなり、人としても尊敬できなくなった男と同居を続けるために、「社会での尊敬する先輩」と捉えるようになった。
仕事に力を注いで社内で昇進、ついで独立した。
独立には夫も大いに協力してくれた。
しかし、会社が成功して夫の会社をしのぐほどになってくると、今度は業界内に不倫の噂を流された。
ついに子供を連れて購入したマンションに別居、そして離婚届をつきつけた。
夫は妻がこんなことをできることに驚いていた。
子供の頃から父親に貶められてコンプレックスの塊だった美弥子さん。
長い時間がかかったが、自信がついた今だからこそ離婚できたという。
そして、夫への恨みも後悔もないという。
不妊治療をしている間に夫が浮気、相手に子供ができて離婚された香織さん(38歳)の例。
30までは仕事をしてそこから子作りする予定だったが、いざやってみるとなかなかできない。
病院に行ってみると、自分の方に原因があると判明。
排卵日に合わせたセックスがだんだん夫には苦痛に。
さらに体外受精に進むと、精液提供を嫌がるようになる。
ある日、別の女性と交際していて、妊娠したので離婚してくれと言われた。
ショックで動けない状態になり、夫が両親に連絡してくれて、3者会談となった。
夫は浮気を謝罪したが、不妊治療への協力は拷問だったといい、父親はそれに理解を示した。
親は彼を解放し、自分も自由になれと言ったが、香織さんは飛び出していった。
しばらく精神科に入院。
世の中には努力してもどうにもならないものがあると悟り、心の落ち着きを取り戻してきた。
著者曰く、自分の精子だけを目的にしている妻が待っていると思うと帰宅したくなくなるのもわかる。
そこへたまたま恋愛が訪れ、関係を持ったら相手が妊娠したということ。
すべてが皮肉なタイミングだったが、香織さんが悪いわけではない。
本気で夫を取り戻したい
夫の浮気を知るも、自分がいかに夫を愛しているか知り、知力を駆使して愛を取り戻した京子さん(39歳)の事例。
発覚はパソコンのメールから。
裏切られたというより、こんな性格の人も隠れて恋愛するのかという驚きだった。
夫のスケジュールなどと照合し、嘘の予定=浮気デートの日時を割り出し、財布に残っていたコンビニのレシートなどから場所も特定した。
その場所と住所録から相手を特定し、誕生日まで調べ上げた。探偵並みの調査力。
浮気が心配なため仕事の能率が落ち、残業が増えて家事がおろそかになり、夫と衝突。
喧嘩の際に浮気のことを訪ねたが、夫はシラを切る。
友人に相談すると、女友達は問い詰めて謝らせるべきだというが、男友達はそれをやれば愛人の方へ追いやる可能性が高いという。
彼女は自制を選んだが、妻は高い場所からどんと構えてみてればいいというような意見には同意できなかった。
この間も夫婦間のセックスはあり、すごくうまくなっているので、愛人がこれをしてもらっているのかと思うと激しい嫉妬を感じた。
京都出張旅行が怪しいと睨んだので、家族でついていくというと、しばらくして出張が中止になった。
その後、浮気の兆候が消え、夫婦仲は以前より円満になっている。
今後もこういうことがあるかもしれないが、夫を愛しているので、必死に取り戻そうとするだろうとのこと。
10年目の試練
結婚10年目で夫の浮気が発覚して、今なお葛藤の日々を送っている菜穂子さん(34歳)の事例。
夫は大学卒業後に6千万円の借金をして飲食店をはじめ、そこそこの成功を収めている頼りがいのある男性。
海外出張帰国の遅れ(実際は帰国して日本で宿泊していた)、クレジットカードの請求書などから浮気が発覚した。
証拠を手に問いただしても夫は浮気を認めない。
あまり言い立てると自分が苦しむので、見ざる言わざる聞かざるを決め込んだ。
喧嘩になって「いい暮らしをさせてやっているのに」とか「俺は自分が一番大切」と言われた時はショックだった。
心が揺れ動く日々は続く。
買物でストレス解消とか、異性のメル友を作るとかも試みたが、うまくいかなかった。
「もし、1週間ひとりになれるなら、何をしたいか?」という著者の質問に、彼女は「それはタブー」と答えた。
子供が4人いて忙しく、万が一何かが起きても後悔しないように、きちんと生きていくだけでせいいっぱい。
そんな折、夫が米国出張中に2.11テロが起き、連絡がつかなくて、心配で著者に電話してきた。
毎日いろいろなストレスを抱えながらも、彼女は夫を愛していると著者は結論づける。
別居のまま2年近くが過ぎて
妊娠をきっかけに結婚して7年、夫が妻と子を残して家を出て2年がたつ朝子さん(31歳)の事例。
最初の子の時は出産に立ち会ってくれ、赤ちゃんの面倒もよく見てくれた。
しかし、当初は夫の両親と同居で、嫁姑問題が切実、夫の帰宅はだんだん遅くなった。
二人目の妊娠の時に電話の明細から浮気の疑いが出たが、その時は夫を信じた。
やがて夫婦はマンションを買って親と別居し、そこで第二子が生まれる。
しばらく実家に戻っていたが、夫はあまり会いに来ず、両親も不審に思った。
その後、夫から2年越しの彼女がいるので、お互いに自由に生きていきたいという話があった。
子供は大切、だが彼女とは別れられないという。
子供が2人いて、家まで買ったのに、いったいどうするつもりなのか?
苦悩で母乳まで止まったが、浮気相手・姑・小姑の3人から、自分が居心地の悪い家にしているせいではないかとなじられる。
精神科に行ったが病名はつかなかった。
夫は家に寄り付かなくなり、やがて持ち物もすべて運び出した。
生活費だけは振り込んでくれるが、住所も知らず、携帯だけが唯一のつながり。
何もしないでいるとおかしくなりそうだったので、内職をしてみたところ、少額だが自分で稼げて自信がついた。
その後、フルタイムの営業職になって充実した日々を送っていて、「夫に捨てられた女」という被害者意識が消えた。
最近は夫の態度にも変化があって、いい感じになってきている。
以前は「普通の家庭」を作らなければならないという強迫観念が強かったが、今はこのイレギュラーな形もそれはそれでアリと思える。
著者は、完璧な妻であろうとすることが夫に圧迫感を与える、そして妻が完璧な妻になろうとするのは評価してくれる相手が夫しかいない環境のせいである、そんな事例の一つではないかと考えている。
女の嫉妬
夫の恋人と同じ土俵に乗るまいとしてがんばる妻は多いが、現実には若い女と自分を比較してしまい、嫉妬に苦しめられることが多い。
春枝さん(50歳)の夫は、単身赴任中に娘より年下の29歳も若い女性と不倫していた。
その女は電話をかけてきて「旦那さんは離婚して自分と結婚すると言っている」「あなたのご主人と寝ています」と挑発してきた。
妻は夫と話し合い、夫は謝罪して女と別れた。
その後、夫は以前にもまして心遣いをしてくれるが、妻の心の奥底に燻る嫉妬の炎は消えない。
特にセックスの場面では、絶対若い女の方がよかったはずだと思って苦しみ、今までの結婚生活は何だったんだという気になる。
夫にはこの気持ちは絶対わからないだろうと思う。
著者によれば、夫を男として意識しているからこそ、相手の女との比較で嫉妬に苦しむのだという。
相手が若い女だと体で敵わないと思うし、年上の女の場合も、相手は実年齢より体が若く、精神面で成熟しているのだろうと、自己評価を下げる。
由美さん(40歳)の場合は、夫に浮気相手と露骨に体やセックスを比較されて貶められた事例。
「胸が小さい」「腰使いが下手」「おまえみたいな女はいくらでもいる」などと言われた。
夫に浮気を白状されたころ、妻にも好きな人がいた。
別居後、妻はその男と関係する。
結婚していても好きな人ができるのは自分も同じだから理解できる、今後どうしていきたいのかよく考える、と妻は語る。
多佳子さん(48歳)の場合は、夫の5年越しの浮気が発覚した後で、自分も出会い系で見つけた男性と浮気した。
体を重ねるごとに情も深まり、夫もそうしているうちに5年経ってしまったのかな、と理解できた。
自分も浮気し始めてから、妻は夫のことをとやかく言わなくなった。
すると、旦那の方から求めてきて、3年ぶりの性交渉。
以来、夫婦ともに不倫しながら、子供に怪しまれることもなく、いい距離感で夫婦関係は円満になってきている。
著者はこの話を聞いて、渡辺淳一の小説「別れぬ理由」を思い出した。
自分の気持ちをどう整理するか
浮気を知ったが、離婚を選択せずに、婚姻を継続した場合の気持ちの整理の仕方について。
哲子さん(53歳)は親友に夫を寝取られていた。
親友とは絶交したが、夫は自白せず、つらい2年を過ごしてきた。
しかし、最近は将来のことを考えることで、過去はありのままに受け入れようとしている。
自分の母親が死んだのが、今の自分と同じ53歳の時。
いつ死ぬかもわからないのだから、今この時をもっと大切にしよう、と。
最後の事例は、夫の死後にその浮気を知った綾子さん(40歳)の場合。
海外駐在中に交通事故に遭って死んだが、遺品から愛人の写真と手紙が出てきた。
自分は愛されていると思っていたから、大変なショックだった。
ずっと苦しんでいたが、著者の本を読んで心の安らぎを得たという。
夫は、男として彼女を愛したけれど、自分のことは家族として、永遠のフレンドとして愛してくれたはずだ、と。
綾子さんからメールをもらった著者は、この女性に会いに行った時のことも記している。
綾子さんが好きだという「分かれ道」というアメリカ映画もみた。
綾子さんは、夫の死以来、労災のお金で暮らしていて、無職のままである。
今は何もする気がせず、生きているだけでいいのだという。