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探偵自身が書いた本や探偵のノンフィクションを紹介していくコーナーです。
本を通じて、この謎めいた探偵業界の実態を探ります。
今回、ご紹介するのは下記の本。
「完全探偵マニュアル」 渡邊文男 著 しょういん 刊 667円(税別) 廃刊(Kindle板は配信中)
総合探偵社ガルエージェンシーのオーナーによる赤裸々な体験談です。
同社は、日本で最大の探偵フランチャイザー。
どの探偵社も成功談ばかりを喧伝するが、現実はそんなものではなく、探偵には失敗もたくさんある。
そういうものも含めて全部見せる!と前書きで語っておられます。
調査のエピソードがメインの本です。
いくつかの事件を紹介している。
出会い系で男をみつけてホテルに入り、行為はせずにお金を盗んで逃げることを繰り返していた女子高生を更生させた話。
家庭を壊して不幸にしてしまった女性の現状が幸せであることを調べてあげて、男に未来に目を向けさせた話。
国際線のスチュワーデスの行動調査をするために、真夏に1週間一人で家の前で張り込みをしたが、ずっと在宅した後、また仕事に行っただけだったという話。
妻に怪文書や無言電話で嫌がらせをしているのは自分の愛人だと思っていた依頼者が、意外な真犯人にたどり着く話。
渡邊氏が探偵になった経緯。
若かりし頃のエピソードが複数収められている。
★早大卒のハンサムな青年が探偵を志望してきたが、初仕事の浮気調査で老人の醜いカーセックスを撮影したショックで退職した話。
★尾行中に巻かれて、仲間の車にも置いてけぼりを喰らい、友達を探している人を演じて、パトカーで仲間のところまで送ってもらった話。
★同窓会を機にストーカー行為を始めた男に対し、強面の男を彼氏役に送り込んで脅し、手を引かせた話。
★女性探偵はとても役に立つが、他の男性探偵に恋愛感情を持たれてチームの人間関係に不和が起きやすいのが弱点だと思い知った体験談。
★ある代議士の弱みをつかむ目的で、その妻と肉体関係になり、家に盗聴器をしかけた話。(当時の法規制では違法ではなかったとのこと)
★裏切り者の役員を探す企業潜入調査。秘書と肉体関係になって情報をつかんだが、この秘書に妊娠したと言われた。
パイプカットしているので、そんなはずはないが、試しに結婚をOKすると、社内に結婚話を広められ、社長から契約解除を喰らったという話。
★ある社長が行方不明の社員の捜索を依頼。最初は心配してかと思ったが、社内で暴行していて、刑事告訴を阻止する目的だった。依頼者が弱者や善人とは限らないという教訓。
★まじめな30代半ばの男性が貯金を使い果たし、妹の貯金まで使い込んだので依頼が来た。男のいる女に騙されてつぎ込んでいたが、相手を信じ切り、調査結果を信じようとしなかった。男はその後、ホームレスに。
★失踪した妻を捜索して連れ戻したところ、今度はその妻が連絡の取れなくなった浮気相手を探してほしいと依頼してきた話
★保険会社の依頼。交通事故で視力障害を負ったと称する男に、女探偵をナンパするように仕向けて、実際はよく見えていることを証拠取り。
★毎夜、夕食後に外出する夫の行動調査。電車の中で色々な女性を女性を視姦し、トイレで自慰していたという話。
★足掛け6年も浮気調査をかけた老人の話。浮気はしていなかった。ある日、亡くなった。
★学生たちが金を出し合って、教授と女学生の浮気調査を依頼してきた話。
★休日出勤が嘘とわかった夫の行動調査。妻は女にもてるはずがないとなめきっていたが、調査の日、なんと浮気相手と(模擬の)結婚式を挙げていた。
★帰宅が遅く、浮気を疑われているイケメン夫。1週間追っても女の影はなく、真夜中の田園に車を停め、一人で過ごしていた。帰宅したくないだけだったのだ。
★夫を調査すると会社の地下駐車場のトイレで浮気セックスしているのが判明。妻の懇願に負けて現場に案内すると修羅場になって逃げだしたという話。
★変態的欲求が増えた刑事を妻が不審に思い、調査依頼。6メートルもある壁を越えて警察の女子寮に入り、婦警と不倫した後、夜明けにソープに行っていた。
★売春が発覚した妻は、ある強力なウイルスのキャリアだったという話。
★ラブホテルの従業員が職場で浮気。ホテル出入りが証拠にならないので、過激なことをしたという話。
★1日の調査で証拠が取れなかった当日、奥さんが口論して夫を刺した話。
★昔の「友達以上・恋人未満」の女性を探す依頼。依頼者が連絡すると、女は7年間探してくれるのを待っていたという幸せな話。
★がんで余命いくばくもない娘のために、親の依頼で祈祷師を捜索。詐欺で逮捕されたり、悪評の人物だった。祈祷はしたが、娘は医師の宣告通り死んだ。
★知恵遅れの弟の捜索を姉が依頼。色々金銭トラブルを起こしているようで、なぜか毎回Sという人物が仲介に入る。詐欺と睨んで行動調査をかけると、Sはこの弟を利用して家族から金をだまし取っていたのだった。
★仕事中のケガで障害を負ったという高所清掃作業員を保険会社の依頼で行動調査。1カ月の調査期間中、ずっと杖をついていたが、名古屋万博に来て知人の家族と会っている時、杖をつかずに普通に歩いているのを捉えた。
尾行編
現実の尾行の難しさやそれを切り抜けるテクニックをシミュレーション形式で披露。
相手が突然タクシーに乗る、喫茶店に入る、女性下着売り場に入る・・・と次々に起こす行動についていく。
行方調査編
失踪から1カ月以上経った青年の捜索依頼。
失踪理由はあく、預金通帳、印鑑、保険証などを持ち出している。
部屋の中に情報はなく、エロ本もない。自室を捜索されることを想定して事前処分したと思われる。
おそらく自分の意思で失踪した。
友人への聞き込みでも情報はない。
パソコンの中にも情報はなく、技術に詳しい者が復元にあたると、男性器の画像がたくさん出てきた。
探偵は新宿2丁目に向かった・・・・
尾行合戦
滅多にないことだが、尾行する側とされる側の双方が探偵を雇う場合がある。
DVから逃亡して、探偵を雇って不貞の証拠をつかみ、離婚裁判を起こした妻。
その捜索を依頼された探偵。
尾行を想定して攪乱行動を準備しておいた探偵と、そのターゲットを追尾する探偵の攻防劇。
逆尾行
狙われる覚えのあった依頼者はあらかじめ探偵を雇っておき、盗聴器を仕掛けにきた探偵を逆に行動調査して証拠写真を入手。
尾行合戦2
妻が探偵に浮気調査を依頼していることを思わず告白。
夫はどこの探偵社か確認するために別の探偵を雇うという状況。
こうなるとよほどの力量差がないと追跡側が負ける。
こういう癖がある人はこうだ・・・といった人の特徴から中身を推定する経験則-探偵占い。
探偵として成功する、探偵社をうまく運営するための秘訣などに関する章。
9割の探偵社は開業1年以内で廃業している。
一番大切なのは信用力(口コミで仕事の紹介があるか)、2番目はブランド力(その探偵社の名を聞いたことがあるか)。
経費がオーバーしても信用作りを優先するのが大切。
渉外能力にたけていて、仕事をつかんでこれるのも大切。
手掛けている関連事業の話。